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同世代で競争激しいDeNA 野手・投手の年齢別成績を分析

2018 12/31 07:00SPAIA編集部
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ラミレス監督体制で躍進のDeNA「年齢別成績」を分析

2016年にラミレス監督が就任して以降、初年度は11年ぶりAクラス、2年目の昨年に19年ぶりの日本シリーズ進出と躍進を果たしたDeNA。日本シリーズでは、ベテラン勢が主力に多いソフトバンクに対し、若いメンバーで善戦した姿が印象的だったが、現在のチームの年齢構成はどうなっているだろうか。

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近年のプロ野球選手の平均引退年齢は29歳前後となっている。若手・中堅・ベテランをどこで区切るかはスポーツによって異なってくるが、プロ野球の場合は29歳がひとつの分岐点といえそうだ。

そこで、29歳未満・以降を大きなくくりで「若手」と「ベテラン」に分けて考えてみる。さらにそれぞれを2つに区切って「23歳以下」「24歳~28歳」「29歳~33歳」「34歳以上」と4つの年齢層に区分(2018年シーズン一軍出場があった選手)。単純な出場機会だけでなく、各年齢層がどのくらいチーム成績に寄与していたのかインフォグラフィックで可視化してみた。

野手陣は近い世代に主力が集中

<主な野手>
■「23歳以下」
細川 成也(20)
宮本 秀明(22)
楠本 泰史(23)
関根 大気(23)

■「24歳~28歳」
佐野 恵太(24)
神里 和毅(24)
乙坂 智(24)
狩野行寿(24)
柴田 竜拓(25)
桑原 将志(25)
嶺井 博希(27)
倉本 寿彦(27)
筒香 嘉智(27)
戸柱 恭孝(28)

■「29歳~33歳」
ソト(29)
宮﨑 敏郎(30)
梶谷 隆幸(30)
大和(31)
石川 雄洋(32)

■「34歳以上」
ロペス(35)

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2018年シーズンのDeNA野手陣はリーグトップのチーム本塁打181本(野手180本、投手1本)を記録した。なかなか効率よく得点に結びつけられなかった面はあるが、主軸の長打力は抜群だった。

年齢層別成績を見ると、「23歳以下」に主力はおらず、ここの打席数は全体の3%、試合数も7%と出場機会は少なかった。ドラフト8位ルーキー楠本泰史の56試合・82試合が最高。高卒2年目・3年目に続けて一軍で100打席以上に立った関根大気も2018年シーズンは26打席にとどまり、高卒1年目の2017年シーズンに日本シリーズで活躍した細川成也もまだ一軍定着には至っていない。

主力が多いのは「24歳~28歳」と「29歳~33歳」。「24歳~28歳」は桑原将志、筒香嘉智ら該当し、レギュラーを争う立場として捕手の嶺井博希、戸柱恭孝、内野手の倉本寿彦、柴田竜拓、外野手に乙坂智、ルーキーの神里和毅らがいる。「29歳~33歳」は宮﨑敏郎、梶谷隆幸らに加え、2018年シーズンから本塁打王を獲得したソト、遊撃手の大和が加入した。

「34歳以上」は田中浩康、G 後藤武敏が現役引退し、現時点で来季のメンバーは外国人のロペスのみ。ベテランが少なく若いチームではあるのだが、主力組で最年少の年齢が高く、近い世代に戦力が集中する年齢構成となっている。

投手は12球団ナンバーワンの若さ

<主な投手>
■「23歳以下」
京山 将弥(20)
飯塚 悟史(22)
東 克樹(23)
濵口 遥大(23)
砂田 毅樹(23)
平良 拳太郎(23)

■「24歳~28歳」
石田 健大(25)
今永 昇太(25)
山﨑 康晃(26)
エスコバー(26)
国吉 佑樹(27)
三嶋 一輝(28)
ウィーランド(28)

■「29歳~33歳」
平田 真吾(29)
三上 朋也(29)
武藤 祐太(29)
バリオス(30)
パットン(30)
井納 翔一(32)

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投手陣は野手とは対照的に、「23歳以下」がすでにメインの戦力層だ。投球回数37%は12球団最高。そして「34歳以上」の投手が1人も在籍していなかった。これは12球団でDeNAだけである。

セ・リーグでは中日も「23歳以下」の投球回数が29%でDeNAに次いで割合が高かったが、球界最年長の岩瀬仁紀や松坂大輔ら「34歳以上」の登板も多く(投球回数23%)、ベテランが戦力となっている。現在の球界で最も若い投手陣で戦っているのがDeNAといえそうだ。

「23歳以下」は11勝で新人王に選出されたルーキーの東克樹をはじめ、濵口遥大、平良拳太郎、高卒2年目の京山将弥など先発陣が多く該当。砂田毅樹も70登板を果たし、リリーフエースと呼べる働きをみせた。

「24歳~28歳」は先発に実績のある今永昇太、石田健大。リリーフには守護神の山﨑康晃をはじめ、三嶋一輝、エスコバーらがいる。「29歳~33歳」は2018年シーズンはリリーフ登板がメインとなった井納翔一や、リリーフ専門の三上朋也、パットンなど。須田幸太、加賀繁は退団し、現時点で2019年シーズンの「34歳以上」は藤岡好明のみとなる。

年齢層別の防御率は「23歳以下」3.63、「24歳~28歳」4.72、「29歳~33歳」4.21。東をはじめ若年層の投手が奮戦した一方、これまでチームを支えてきた24歳以上に今季は力を出し切れなかった投手が多かった。

野手・投手を総括すると、どちらも近い世代間で競争が繰り広げられている。野手はさらに競争を活性化させる意味でも、レギュラー陣最年少である25歳・桑原のもう一つ下の世代が出てきてほしいところだ。投手は今永ら今季不調だった上の世代の復調に期待となる。下の世代の強力な突き上げがその原動力となってくれるだろうか。

(本文:青木スラッガー)