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日本ハムが王柏融獲得へ 今季課題「中田翔の後ろ」は解消となるか

2018 11/23 07:00青木スラッガー
野球ボールⒸShutterstock.com
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日本ハムが台湾の4割打者・王柏融の交渉権を獲得

20日、台湾リーグからポスティングシステムにより海外移籍を目指していた王柏融の優先交渉権を、日本ハムが獲得したことが明らかになった。これは、予想外の動だといえる。

「大王」こと王は、ラミゴモンキーズで今シーズン4年目を終えた25歳の左打ち外野手。2年目に打率.414で台湾球界初の打率4割を達成し、3年目には打率.407・31本塁打・101打点で三冠王を獲得という経歴を持つ。「台湾プロ野球史上最高の打者」と称されるほど、国内で圧倒的な活躍を残してきた強打者である。

まだ獲得が決定したわけではないが、例年、大物選手の争奪戦には参加しない日本ハムが「大王」を狙っていたとは驚きだ。

2016年に日本一になった後、ここ2年は若手育成に注力している印象の日本ハム。元来、戦力の入れ替えが活発で順位の変動も激しいチームだが、来年は「勝ちにいく」シーズンに位置付けたと期待してよさそうだ。

優勝を掴むためのピースとして、日本ハムが王に求めている役割。今シーズンの戦いを振り返る限り、それは主砲「中田翔の後ろ」となるのではないだろうか。

優秀な働きをみせた1番から4番までの上位打線

今シーズンは、上位打線が非常に優秀な働きをみせた日本ハム打撃陣。1番は2年連続盗塁王の西川遥輝で、チームが好調な時期は大田泰示が2番で本塁打を量産した。3番は打率.323でリーグ3位の近藤健介だ。

西川は打率.278と、トップバッターとしてはやや物足りないアベレージだったが、出塁率がリーグ6位の.391と非常に選球眼が良い。塁に出れば、44盗塁に対して失敗3、成功率93.6%を記録する足が脅威となる。

近藤も出塁率能力がずば抜けて高く、リーグ2位の出塁率.427だ。大田は故障で夏場に離脱してしまったものの、前半戦だけで13本塁打と今シーズン飛躍し、バントをしない「恐怖の2番」に定着した。

何より大きかったのが、オフに3年契約で残留が決まった主砲・中田の復活だ。打率.216・16本塁打・67打点に終わった昨シーズンの大不振から、今シーズンは打率.265・25本塁打・106打点と本来の打棒を取り戻した。

大谷翔平はいなくなってしまったが、故障復帰の近藤、成長した大田、そして中田の復活で、1番から4番までジグザクの理想的な上位打線ができあがった。

「中田翔の後ろ」の課題は王柏融で解消となるか

課題だったのは中田の後ろを打つ5番打者だ。ここがなかなかうまく機能しなかった。

5番スタメンがあった選手のシーズン成績

ⒸSPAIA

今シーズンは大田を除いて6名の打者が5番スタメンを経験した。レアードは例年通りともいえる成績だが、優勝争いするチームの5番打者としてはもう少しアベレージが欲しかった。日本一になった2016年がそうだったように、6番以降で振り回してこそ脅威になってくれるタイプの打者だ。

オフに退団が決まった今シーズン新加入のアルシアも一発の怖さはあったものの、レアード同様に確実性の面では物足りなかった。淺間大基、横尾俊建、清宮幸太郎といった期待のスラッガー候補もクリーンナップを務めるにはまだ荷が重いだろう。

本塁打が打てて率も残せる左打者が5番に入ってくれれば、最高の補強となる。王を3番にして、近藤が5番でもいい。西武は浅村栄斗が抜けるということもあり、王の働き次第で日本ハムがパ・リーグ最強打線に躍り出るかもしれない。

上位打線の西川、大田、近藤はいずれも外野手、レギュラーの3枠は埋まっている。ポジションから考えるとレギュラー不在の二塁手に補強の余地があった。外野手である王の獲得乗り出しは意外だったが、上手くはまれば非常に効果の大きい補強である。

果たして、本当に台湾の4割打者は日本ハムにやってくるのか。交渉期間は30日間。吉報を心待ちにしたい。