史上最年少で3割・30本・100打点
智弁学園からドラフト1位で入団して4年目。過去3年の成績は、通算35試合に出場して69打数13安打、1本塁打、6打点だった。退団した村田修一の背番号25を受け継いだ2018年、ここまでの大ブレークを一体、誰が予想しただろうか。
3月30日の阪神戦、6番・一塁で開幕スタメンを勝ち取ると、以降も好調をキープ。6月2日のオリックス戦で巨人軍歴代89人目の4番として起用されると、その試合で初の2桁本塁打となる10号ソロを放った。
その後もシーズンを通して4番の座を守り抜き、打率.309、33本塁打、100打点をマーク。22歳3か月での3割・30本塁打・100打点は史上最年少の快挙だった。
「世界の王」も4年目でブレーク
今季の岡本の成績は過去の歴代4番打者と比べても立派なものだ。一概に比較するのは難しいが、例えば高卒でプロ入りした王貞治も、岡本と同じ4年目に38本塁打で初めてのタイトルを獲得。以降13年連続本塁打王に輝いた。
高卒入団でも即戦力だった清原和博や松井秀喜は別格だが、大卒入団選手のルーキーイヤーと比べると岡本のすごさがよく分かる。
原辰徳(東海大卒)の1年目は22本塁打、67打点。高橋由伸(慶大卒)は19本塁打、75打点。阿部慎之助(中央大卒)は13本塁打、44打点。村田修一(日大卒)は25本塁打、56打点。東芝府中から25歳でプロ入りした落合博満は、2本塁打7打点だった。仮に大学に進学していれば今年4年生の岡本は、過去のスーパールーキーよりも1才若い年齢で彼らを上回る成績を収めたことになる。

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表の通り、いずれの打者もその後成績を伸ばし、引退までに2000本安打か300本塁打以上をマークしている。試合数が少ないとはいえ、出塁率と長打率を合わせたOPSでは原や高橋、阿部らを上回っている岡本が今後も順調に成長すれば、名球会入りするような大打者になる可能性は十分にあるだろう。
松井以来の日本人本塁打王にも期待
今後の成長次第でタイトルの期待も膨らむ。ただ、輝かしい実績を残した歴代4番打者も、本塁打王に輝いた選手は意外に少ない。
2リーグ制に分裂して以降は、47試合で4番を打った青田昇、1年目と4年目にそれぞれ29本、28本でタイトルに輝いた長嶋茂雄、1962年からの13年連続を含む15度の本塁打王を獲得した王貞治、そして最後が松井秀喜だ。2004年にローズ、2010年にラミレスがタイトルを獲得したが、日本人に限ると2002年に50本塁打を放った松井以来、巨人から本塁打王は出ていない。

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今年のセ・リーグ本塁打王は41本塁打を放ったソト(DeNA)。以下、丸(広島)、筒香(DeNA)、バレンティン(ヤクルト)、山田(ヤクルト)と続き、岡本は6位だった。来季は他球団からも研究されることになるが、それを乗り越えれば“セ界一”のスラッガーの座も見えてくるだろう。