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代表強化試合から見る、東京五輪のサード候補

2018 3/25 09:30Mimu
野球
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サードの育成が急務となっている日本代表チーム

2020年の東京オリンピックを見据えた、強化試合でもあるENEOS侍ジャパンシリーズ。その日本vsオーストラリア戦が2試合にわたって行われた。
自国開催のうえ、2008年の北京以来のオリンピック野球競技復活ということもあり、金メダル獲得に大きな期待がかかっている。稲葉監督も、2年後を見据えて若手中心のメンバーでこの強化試合を戦った。

稲葉ジャパンで気になるのは「一体誰がサードになるのだろうか?」という点だ。2013年のWBC、2015年のプレミア12、2017年のWBCと3度にわたり日本代表としてこのポジションを務めたのは、福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩だった。
しかし、1983年生まれの松田は2020年には37歳になり、年齢を考えると彼の後釜の育成は急務ということになる。

松田より若く、実績あるサードが少ない

2017年シーズン、サードとして規定打席に到達した日本人選手を見てみると、

セ・リーグ

  • 安部友裕(1989年生 広島東洋カープ)
  • 宮崎敏郎(1988年生 横浜DeNAベイスターズ)
  • 鳥谷敬(1981年生 阪神タイガース)

パ・リーグ

  • 松田宣浩(1983年生 福岡ソフトバンクホークス)
  • 中村剛也(1983年生 埼玉西武ライオンズ)
  • 小谷野栄一(1980年生 オリックス・バファローズ)

 

松田より若い選手は、安部と宮崎という好選手だ。安部は3割を超える打率に、17盗塁を記録した俊足、複数ポジションを守ることができる守備力が武器の選手。

一方宮崎は2017年のセ・リーグ首位打者であり、天才的なバットコントロールを持っている。本塁打は15本と、松田に比べると長打力は見劣りするが、バットコントロールに関しては12球団でもトップクラスであり、松田とはまた違うタイプの好打者だ。
また、サードの守備も非常にうまい。

この2人以外だと、東京ヤクルトスワローズの川端慎吾(87年生まれ)も実績がある。
しかし、2017年はケガで1試合も出場できていないため、現時点で候補としてあげるには厳しい。

稲葉監督はこの強化試合で実績の少ない若手を選出

稲葉監督は強化試合に、阪神タイガースの大山悠輔と、広島東洋カープの西川龍馬を選出した。94年生まれの2人は、チームでも期待されている。2017年シーズンの成績は以下の通りだ。

 

  • 大山悠輔:75試合 打率.237(198-47) 7本塁打 38打点
  • 西川龍馬:95試合 打率.275(204-56) 5本塁打 27打点

 

大山は2017年がルーキーイヤーで、2年目となる西川は1年目の2016年シーズンは62試合に出場している。若手選手の成績としてみると、これからが楽しみな選手だ。
だが、いくら2年後を見据えた選出とはいえ、宮崎や安部を差し置いて選出されるには、やや実績が乏しいように感じてしまう。

阪神で急成長を見せた大山

大山は7本塁打を記録した長打力が魅力の選手だ。その上、打席の中では高い対応力と、カウントごとに違う打撃を見せる引き出しの多さ、また初球から降っていく積極性と、追い込まれても食らいく粘り強さも持ち合わせている。
稲葉監督は、そこを評価して大山を選出したそうだ。

実は2017年シーズンの前半に体づくりをし、後半からデビュー予定だったのだが、あまりにも順調な成長を見せたため、デビューが前倒しになったという経緯もある。
1年目から、監督の予想を上回るほど素晴らしいスピードで成長した選手だ。

すでにチーム一の天才との呼び声も高い西川

西川は、どんな球にも対応でき、強いスイングでボールを捉えることができる天才的バッティングセンスを持っている。その上足も速く、ヒットを生み出す力がズバ抜けている。
アジアプロ野球チャンピオンシップにも選出され、打率.636(11-7) 1本塁打 3打点を記録した。

176cmで72㎏と、プロ野球選手としてはかなりの細身である。守備にはやや細かいミスが目立つが、2017年の成績は2塁打が10本に、本塁打5本と、長打力は十分。
また、打撃センスではチームでもトップクラスだ。

強化試合では1試合目は大山が先発出場し、4打数無安打。2戦目は西川が先発出場し、5打数無安打と、両者ともアピール不足に終わってしまったが、これからの伸び代に期待ができそうな選手だ。

2年後にサードのポジションを守っているのは

80年代後半生まれの宮崎や安部、そして94年生まれの大山に西川、2020年東京オリンピック日本代表のサードは、彼らの競争になってくるだろう。
宮崎や安部は2シーズンでどれほどの実績を積めるのか、大山や西川は素晴らしい成長を見せることができるのか。

松田は2020年シーズンまで、トップクラスの成績を残せていれば、代表に選出されるかもしれない。稲葉監督自身も36歳で北京オリンピックと2009年のWBC、そして40歳で2013年WBC代表に選出された実績がある。
またチームにとっても、経験豊富でベンチを盛り上げるムードメーカー的存在は、貴重なはずだ。

考えれば考えるほど、さまざまなパターンがあるが、2年後にはいったいどのような答えが出ているのだろうか。