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阪神投手陣の大黒柱!メッセンジャーが長年活躍できる秘密とは

2018 4/28 15:19Mimu
ランディ・メッセンジャー
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すっかり阪神投手陣の大黒柱となったメッセンジャー

2018年シーズンで、来日9年目を迎える阪神タイガースのランディ・メッセンジャー。順調にいけば開幕直後にFA権を取得し、2019年シーズンからは日本人登録になる予定だ。
もうずいぶんと長い間、チームに貢献し続けてくれている。その大柄な体格も相まって、すっかりとチームの大黒柱的な存在になった。

実は、来日初年度はあまり良い結果を出すことができていなかったのだが、2年目からはずっと安定した成績を残し続けている。8シーズンで2桁勝利が6度。最多勝に最多奪三振のタイトルを獲得した年もあった。
1年でもっとも重圧のかかる開幕投手も、2015年から3年連続で務めている。今回は、そんなメッセンジャーが日本で長く活躍できている秘密に迫りたいと思う。

ここまでずっと安定した成績を残している

まずはメッセンジャーがここまでの8シーズンで残してきた成績を振り返ってみよう。


  • 2010年:26試合 5勝6敗1ホールド 80回1/3 48奪三振 防御率4.93
  • 2011年:25試合 12勝7敗 150回 122奪三振 防御率2.88
  • 2012年:30試合 10勝11敗 196回2/3 166奪三振 防御率2.52
  • 2013年:30試合 12勝8敗 196回1/3 183奪三振 防御率2.89  ※最多奪三振
  • 2014年:31試合 13勝10敗 208回1/3 226奪三振 防御率3.20 ※最多勝、最多奪三振
  • 2015年:29試合 9勝12敗 193回2/3 194奪三振 防御率2.97
  • 2016年:28試合 12勝11敗 185回1/3 177奪三振 防御率3.01
  • 2017年:22試合 11勝5敗 143回 155奪三振 防御率2.39

連続2桁勝利こそ2015年で途切れてしまったが、それ以外の年は非常に安定した成績を収めている。勝ち星、イニング数、奪三振、防御率、すべてが高水準だ。

毎年180イニング以上を投げてくれる頼もしい存在

メッセンジャーが優れているのは、なんといっても体の丈夫さだ。中5日の登板を全く苦にせず、ローテの都合次第では中4日での登板を託されることもある。
本来先発投手は、1年間ローテを守ったとしても24~26試合ほどの登板がほとんどなのだが、メッセンジャーの場合はほぼ毎年30試合前後に登板している。

またイニング数も稼いでおり、2012年~2016年まで毎年180イニング以上を投げている。完投も多く、2013年にはリーグ最多の6完投(うち完封3)、2014年にも3つの完封を記録。
チームにとってこれだけ頼もしい存在は他にいないだろう。

実はMLB時代はすべての試合が中継ぎ登板であり、先発した経験は0。にもかかわらず、毎年のようにこれだけの成績を残している。元々の体質が先発に向いていたのだろうか。
間違いなく日本で開花した才能である。

肩・肘のケアも欠かさない

そのうえ、これだけ投げておきながら、来日後にケガで離脱したのはたった1度だけ。それも2017年シーズンの8月にピッチャーライナーが足に直撃し、骨折した時だけである。
さらに、そのケガですら、シーズン絶望と報道されていたにもかかわらず9月後半に復帰し、そのまま先発登板。10月のクライマックスシリーズにも出場するというタフネスぶりを見せている。

それ以外のケガは一切なく、肩や肘に違和感を覚えたという話も聞かない。これも日々のケアのおかげだろう。
登板後は肘と肩をしっかりとケア。そして翌日にはランニングを行い、疲労をためないようにしている。
オフの間ですら、アメリカの自宅でのトレーニングを欠かさない。こういった日々の積み重ねが、丈夫な体を作り出しているのだ。

コーチの言うことを素直に聞くまじめな性格

そして何よりも、メッセンジャーは真面目だ。コーチたちの言うことをしっかりと聞き、自分のピッチングを改良してきた。
主にメッセンジャーを指導したのは、当時の久保康生2軍投手コーチだ。来日して間もないメッセンジャーに、カーブを伝授した。
カーブ自体は昔から投げられたそうだが、久保コーチからは主に肘の使い方を改めて教わったようだ。

MLBでは速球派としてならしたメッセンジャーも、日本ではコントロールに苦しみ、打ち込まれることも多かった。しかし、このカーブを覚えてからは投球の幅もグッと広がり、ここまでの活躍ができている。

日本流の細かいプレーもしっかりと研究

そしてメッセンジャーはクイックや牽制、フィールディングも上手い。ボークを取られたのも、8年間で1度だけだ。他の外国人投手が苦労するようなことを、メッセンジャーは特に苦戦しなかった。
とりわけ、クイックの早さはNPBでも上位といわれている。メッセンジャーは上体が非常に強く、足をあまり上げなくとも威力のある球が投げられるため、あれだけ早いクイックが可能だという。

これらも、日本に来てから身につけたものだ。ピッチング以外に、先発投手として必要なことを常に追求してきた。
間合いの使い方も上手く、あえてボールを長く持ったり、クイックの早さを使い分けたりと、駆け引きでも勝負できる。豪快な見た目とは裏腹に、こういった細かいことも身につけているのだ。

自身がもともと持ち合わせていたパワーに加え、日本の野球にもうまくアジャストすることができている。こういった点が、メッセンジャーがここまで長く活躍できた要因だろう。
これも、彼がひたむきに野球と向き合ってきたからだ。野球に対するその姿勢、チームに貢献するその姿、ほかのどの選手よりもお手本になる選手である。