ドラ3廣瀨隆太が自慢のパワーで2本塁打
今季もニューヒーローが数多く誕生したプロ野球。西武のドラフト1位左腕・武内夏暉がパ・リーグでは7年ぶりとなるルーキーでの新人王に輝くなど、新人選手たちの活躍も光った。
そこで今年のルーキーたちが一軍でどのような活躍を見せたのか、球団ごとに通信簿を作成した。投手は「球威」「制球力」「奪三振」「総合」、野手は「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」のそれぞれ4項目について、5段階で評価している。
今回は4年ぶりにパ・リーグを制したソフトバンクのルーキーたちを見ていく。
野手ではドラフト3位・廣瀨隆太が一軍デビューを果たした。
廣瀨は開幕二軍スタートも5月末に一軍昇格を果たすと、6月4日の中日戦でプロ初安打、同月14日の阪神戦でプロ初本塁打をマーク。しかし、その後はプロの壁にぶつかり7月15日に登録を抹消されて以降は一軍に上がることなくシーズンを終えた。最終的に35試合に出場し、打率.233、2本塁打、9打点の成績だった。
野手の各項目は、パワーがリーグの平均ISO(=長打率-打率:長打力を示す指標)、選球眼は同BB/K(四球と三振の割合から打者の選球眼を見る指標)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定している。
廣瀨は2本塁打をマークするなど持ち前のパワーを発揮してISOは.097を記録し、パワー評価は「3」。一方、BB/Kはリーグ平均(0.39)を下回る0.29で選球眼評価は「2」、spdも1.6とリーグ平均(3.7)以下で走力評価は「1」となった。来季は自慢の長打力を生かすためにも確実性を向上させ、二塁のレギュラー定着を狙いたい。
高卒捕手のドラフト7位・藤田悠太郎は一軍での出場はなし。二軍では2試合に出場して、3打数1安打の成績だった。
投手は支配下指名の全5選手が一軍を経験
投手では、ドラフト2位・岩井俊介と同6位の大山凌が一軍戦力となった。
岩井は開幕一軍入りすると、4月4日のロッテ戦でプロデビューし、1回を三者凡退に抑えた。その後は一軍での登板機会に恵まれず昇降格を繰り返したが、9月にプロ初勝利、初セーブ、初ホールドを立て続けにマーク。最終的に15試合に登板し、防御率3.46、1勝1敗1セーブ2ホールドの成績を残した。
大山は6月9日のDeNA戦でプロ初登板、7月17日のロッテ戦でプロ初先発を経験。そして8月15日の西武戦ではプロ初勝利もマークした。終わってみれば今季新人の中で最多の18試合に登板し、1勝1敗1ホールド、防御率3.25の成績を残した。
投手の各項目は球威がリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。
岩井はストレートの平均球速が151.2キロと150キロ超を記録し、球威評価は「4」、BB%は3.8%と高い制球力を見せ、評価は最高の「5」となった。K%は18.9%とリーグ平均(18.5%)並みで奪三振評価は「3」となったが、13投球回で2本の本塁打を浴びたため、FIPは4.24とリーグ平均(3.37)に遠く及ばず総合評価は「2」となった。来季は首脳陣の信頼を勝ち取る活躍を見せ、登板数を増やしたいところだ。
大山はストレートの平均球速が148.3キロ、K%は20.2%とともにリーグ平均をやや上回り球威と奪三振評価はともに「3」だったが、BB%は12.3%と制球力には欠け、その評価は「2」。FIPは4.10で総合評価も「2」となった。投げっぷりはいいだけに、制球力に磨きをかけ、来季はフルシーズン一軍帯同を目指したい。
支配下で指名された残り3投手も1年目から一軍登板を果たした。ドラフト1位の前田悠伍はウエスタン・リーグで12試合に登板、4勝1敗、防御率1.94の好成績を残し、10月1日のオリックス戦で一軍先発デビュー。3回8安打6失点と悔しいプロ初登板となったが、貴重な経験を積んだ。
同4位の村田賢一は、一軍登板は1試合のみ。二軍では12試合に登板し、3勝5敗、防御率4.38の成績だった。同5位の澤柳亮太郎はリリーフとして開幕一軍入りを果たすと、4月4日のロッテ戦でプロ初登板、8月1日の楽天戦ではプロ初勝利も挙げた。しかし、同月10日の楽天戦で右肘を負傷。9月にはトミー・ジョン手術を受けたこともあり、来季は育成契約から再起を図る。
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