筒香嘉智が先制アーチ、5回に一気7得点で大勝
プロ野球日本シリーズ第6戦が3日、横浜スタジアムで行われ、王手をかけていた横浜DeNAベイスターズが福岡ソフトバンクホークスを11-2で下し、1998年以来26年ぶり3度目の日本一に輝いた。
リーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち抜いて「下剋上」での優勝は、2010年のロッテ以来の快挙。地元ファンの前で三浦大輔監督がハマの夜空に舞った。
前日2日は雨のため順延となったが、DeNAは大貫晋一、ソフトバンクは有原航平がスライド先発。試合は2回に筒香嘉智がバックスクリーン右に放り込む豪快なソロ本塁打を放ち、さらに桑原将志のタイムリーなどで3点を先制した。
3回にも押し出しで1点を追加。4回に大貫が柳田悠岐に特大2ランを浴びて2点を失ったが、5回には筒香嘉智と宮﨑敏郎の二塁打などで一気に7点を奪いリードを広げた。
最後はクローザーの森原康平が柳田悠岐を空振り三振させて試合終了。ベンチでガッツポーズした三浦監督は目を潤ませながらマウンドに行き、5度胴上げされた。
現役時代唯一の日本シリーズ登板は3回途中4失点KO
三浦大輔監督は「ハマの番長」と呼ばれた現役時代、通算172勝を挙げたが、25年間で優勝は1998年の一度きり。同年は初めて背番号18を背負って12勝をマークしたものの、西武との日本シリーズでは第3戦(西武ドーム)に先発して2.1回2安打6四球4失点でKOされ、負け投手となった。
大舞台で勝つ難しさ、実力を出し切る大変さは身をもって知っている。だからこそ気負うことなく普段通りに戦い続けた。
振り返れば高校時代からそうだった。高田商のエースとして奈良大会決勝に進出したものの、後に巨人にドラフト1位で入団する谷口功一を擁する天理に敗れ、甲子園出場の夢を絶たれた。
プロ入りは1991年ドラフト6位。背番号46でプロ野球生活をスタートさせた細身の右腕は大きな期待を背負うこともなかったが、愚直に努力を続けた。
2005年に最優秀防御率と最多奪三振に輝き、現役生活25年で172勝を積み上げた一方、敗北も184ある。
いつも「負け」から始まる野球人生
監督就任1年目の2021年は開幕6連敗を喫し、一度も貯金を作れないまま最下位。2年目以降はAクラスに入っているが、それでも監督4年間の通算成績は272勝276敗24分けと負け越している。
三浦大輔の野球人生はいつも「負け」から始まる。そして最後に勝つ。人生そのものが「下剋上」なのだ。
球団の優勝監督は、1960年の三原脩、1998年の権藤博に次いで3人目。「三原マジック」と呼ばれた名将や、「権藤、権藤、雨、権藤」と言われるほど投げまくってシーズン35勝を挙げた実績を持ち、就任1年目にチームを優勝に導いた権藤監督に比べると、三浦監督の実績は現時点では見劣りする。
ただ、これまで最後は勝ってきた三浦監督の下剋上物語にはまだ続きがあるはずだ。一度も果たせていないリーグ優勝、そして正真正銘の日本一を達成した時、「ヨ・ロ・シ・ク!!」の決め台詞が日本中に響き渡るだろう。
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