シリーズ打率.391、攻守で大活躍の桑原
プロ野球日本シリーズは5試合を終えてDeNAが3勝2敗で王手をかけている。雨のため3日に順延された第6戦(横浜スタジアム)に勝てば、1998年以来26年ぶりの日本一。リーグ3位からの下剋上は2010年のロッテ以来14年ぶりの快挙となる。
もしDeNAが優勝した場合のMVP候補の一人と目されているのが桑原将志だ。全5試合に1番でスタメン出場して23打数9安打の打率.391、1本塁打、6打点、2四球、出塁率.462をマークしており、守備でもダイビングキャッチで投手を助けるなど攻守で目立っている。
福知山成美高から2011年ドラフト4位で入団して13年目の31歳。2021年に135試合出場で打率.310、14本塁打、43打点の好成績を残すなど主力として活躍してきた。
今季は106試合で打率.270、5本塁打、24打点。決して悪くない成績だが、日本シリーズでの活躍はシーズン以上に目を見張るものがある。一体、シーズンとどこが違うのだろうか。
10打席以上の打者で唯一の0三振
まず目に留まるのが、今シリーズでいまだ三振をしていないことだ。
DeNAで10打席以上立っている打者は9人いるが、0三振は桑原のみ。牧秀悟と筒香嘉智は6三振、梶原昂希は5三振、オースティンと宮﨑敏郎は4三振、森敬斗は3三振、佐野恵太と戸柱恭孝は2三振を喫している。
ソフトバンクには今季の奪三振率13.50のヘルナンデスや同8.56のモイネロ、同7.88のスチュワート・ジュニア、同7.39の石川柊太、同6.75の有原航平ら三振奪取能力の高い投手が多い。それにもかかわらず、桑原は三振を喫していないのだ。
レギュラーシーズンは321打席で42三振。三振を1つ喫するまでにかかる打席数を示す指標「PA/K」は7.64だ。元々、三振は少ない方ではあるものの、リーグトップの宮﨑敏郎(16.17)ら上には上がいる。では、なぜ今シリーズでは三振しないのか。
シーズンより大幅に高い初球スイング率
ポイントは「積極性」にあった。下の表を見てほしい。
シーズンの初球スイング率は27.7%だったが、日本シリーズでは42.3%にはね上がっている。ファーストストライクもシーズンの33.2%からシリーズでは38.2%に上がっている。
コンタクト率はそれほど変わらないことからも、若いカウントから積極的に打ちにいく姿勢が好結果につながっていると見て間違いないだろう。追い込まれる前に打つから三振しないのだ。
第6戦のソフトバンク先発は有原。桑原が積極打法でかき回し、一気に頂点まで駆け上がるか。
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