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ソフトバンクのドラフト補強ポイント 充実の戦力もポスト今宮健太とやや手薄な先発陣に課題

2024 10/17 07:00SPAIA編集部
ソフトバンクの小久保裕紀監督,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

リーグトップの防御率マークした投手陣

小久保裕紀新監督のもと、4年ぶりにペナントレースを制したソフトバンク。2位・日本ハムに13.5ゲーム差をつけての独走優勝だった。有原航平が最多勝、山川穂高が本塁打と打点の2冠に輝くなど投打7つの部門でタイトルを獲得。柳田悠岐ら主力に離脱者が出るも充実の戦力で他球団を圧倒した。

現在チームは日本シリーズへの出場権をかけてクライマックスシリーズファイナルステージを戦っているが、10月24日には来季以降のチームの戦力強化の場となるドラフト会議が開催される。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含めソフトバンクのドラフト補強ポイントを考えていく。

【過去のドラフト指名選手一覧はこちら】

先発投手,ⒸSPAIA


投手陣は昨季リーグ4位だったチーム防御率3.27が、今季は同トップとなる2.53と大幅に改善した。先発では今季リリーフから転向したモイネロと大津亮介が躍動。特にモイネロは最優秀防御率(1.88)のタイトルを獲得するなど大車輪の活躍だった。

最多勝に輝いた有原航平、来日6年目のスチュワート・ジュニアに大関友久も安定した投球を披露。ただ、東浜巨、石川柊太は安定感に欠け、今季終盤に先発デビューしたドラ1ルーキーの前田悠伍と2022年育成10位入団の前田純も来季戦力となれるかは未知数。このドラフトで先発ローテの軸となれる投手を獲得できれば、さらに盤石な陣容となる。

リリーフ投手,ⒸSPAIA


一方のリリーフ陣もリーグトップの防御率2.53をマーク。守護神・オスナの状態が上がらない中、杉山一樹が50試合に登板して防御率1.61とブレイク。松本裕樹、藤井皓哉、来日2年目のヘルナンデスらとともにブルペンを支えた。

ルーキーの岩井俊介、大山凌らも結果を残していたが、終盤に藤井や松本がケガで離脱するなど来季への不安要素もある。消耗が激しいポジションだけに、ドラフトで継続的に選手を補充しておきたいところだ。

充実の野手陣は将来性重視の指名か

捕手,ⒸSPAIA


捕手では正捕手の甲斐拓也が102試合でスタメンマスク、次いで海野隆司が38試合で先発した。ベテラン、中堅、若手と年齢バランスも良く陣容的には揃っている。甲斐が国内FA権を取得したのは気がかりだが、現状の補強優先度は高くない。上位指名するならば、将来に備えて高校生の正捕手候補を狙う形にだろう。

内野手,ⒸSPAIA


続いて内野手。一塁では昨オフに西武からFA移籍した山川穂高が打撃2冠に輝く活躍、三塁では栗原陵矢が打率、本塁打、打点すべてでリーグトップ5に入る好成績を残した。脂の乗り切った2人だけに急いで補強する必要はない。将来性の高い高校生の指名を検討する形になるだろう。

遊撃は今宮健太がレギュラーに君臨している一方、二塁は牧原大成の67試合スタメンを筆頭に、ルーキーの廣瀬隆太ら7人が起用されたが決め手に欠けた。今年33歳となった今宮の後継を含め、優先的に補強したいポジションとなっている。

外野手,ⒸSPAIA


外野手は近藤健介と周東佑京がレギュラーとして躍動。故障離脱した柳田悠岐も含め12球団トップクラスの布陣となっている。また、5年目の柳町達や3年目の正木智也、育成出身の川村友斗といった若手も台頭し、充実の戦力を有する。補強の優先度は高くなく、こちらも将来性の高い高校生などを指名する程度に落ち着くだろう。

1位指名は手薄な二遊間候補の目玉か

以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。

1.二遊間のレギュラー候補
1位指名は手薄な先発陣か次世代の二遊間候補か。より緊急度の高い二遊間の候補を1位指名と予想する。その筆頭となるのが明治大・宗山塁。攻守ともにハイレベルで即一軍で通用する能力を備えており、既に広島が1位指名することを公表している。ポスト今宮健太として競合してでも獲得したい逸材だ。

2.即戦力性の高い先発投手
リーグトップの防御率を記録したものの、やや手薄な先発陣に即戦力性の高い投手をさらに加えておきたい。社会人なら今季急成長を遂げた伊原陵人(NTT西日本)、吉田誠弥(西濃運輸)の両左腕、大学生なら最速157キロ右腕の篠木健太郎(法政大)、寺西成騎(日体大)らが候補となる。

3.即戦力リリーフ
終盤に故障者が続出したリリーフ陣にも即戦力を加えておきたい。右腕なら奪三振能力の高い安徳俊(富士大)や常時150キロ超の速球で打者を圧倒する木下里都(KMGホールディングス)らが候補。左腕なら最速152キロ誇る宮原駿介(東海大静岡キャンパス)、真上から投げ下ろす躍動感あるフォームが特徴的な沢山優介(ヤマハ)らが候補となるだろう。

※表の年齢は2024年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月15日時点)

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