投手陣は安定も来季に向けて不安要素も
球団史上初となるリーグ連覇を目指すも、優勝した巨人にわずかに及ばず2位に終わった阪神。DeNAと対戦したクライマックスシリーズファーストステージでは強力投手陣がまさかの大量失点で2連敗し、早々に敗退が決まった。
昨季38年ぶりの日本一に導いた岡田彰布監督は今季限りで退任。藤川球児氏を新監督に迎えて臨む来季へ向け、10月24日に開催されるドラフト会議はチームのさらなる戦力強化において最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含め阪神のドラフト補強ポイントを考えていく。
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昨季優勝の原動力となった投手陣は、今季もリーグ2位のチーム防御率2.50を記録した。先発では才木浩人が自身初の2ケタ勝利をマークするなどエース級の活躍。村上頌樹や大竹耕太郎は、やや成績を落としたものの1年間ローテーションを守った。伊藤将司、青柳晃洋の不振は誤算だったが、来日2年目のビーズリーがその穴を埋めた。
さらに、髙橋遥人が3年ぶりに一軍のマウンドへ復帰し、優勝争い真っ只中の終盤戦で白星を重ねる活躍を見せた。その一方で、新たな若手の台頭には乏しかった。特に、ドラ1ルーキーの下村海翔はトミー・ジョン手術を受けており、来季も戦力として計算しづらいだけに、即戦力の補充も視野に入れておきたい状況だ。
リリーフ陣では最優秀中継ぎのタイトルを獲得した桐敷拓馬に、岩崎優、石井大智、新助っ人のゲラが勝ちパターンを形成。さらに現役ドラフトで獲得した漆原大晟や、2021年ドラフト5位の岡留英貴、2022年ドラフト6位の富田蓮といった若手もブルペンを支えた。
ただ、新人の登板はドラフト5位の石黒佑弥のみとやや物足りない結果に。今季フル回転した投手たちの勤続疲労も気になるだけに、ドラフトでは即戦力となる投手をしっかり補充しておきたい。
内野陣が軒並み不振、若手の台頭著しい外野陣
捕手は今季も梅野隆太郎と坂本誠志郎の2人でスタメンを分け合う形となった。ただ、両者とも打率は2割台前半で、本塁打はまさかの0本と打撃面で課題が残る。若手の突き上げもなかっただけに、競争を促すためにも即戦力となる捕手がいれば優先的に指名しておきたい。
続いて内野手。一、三塁には大山悠輔と佐藤輝明の絶対的レギュラーがいるものの、いずれも昨季からは成績を落とした。また、大山は国内FA権を取得しており、このオフの流出への備えも必要となる。
二遊間は中野拓夢と木浪聖也コンビが今季もレギュラーを張ったがともに打率2割台前半と振るわず、こちらも成績を落とした。ただ、小幡竜平、髙寺望夢の若手2人が控えており、一昨年と昨年のドラフトで計3人の高校生遊撃手も獲得済みで陣容は揃っている。大山の後継候補含め、強打が持ち味の内野手の指名を優先したいところだ。
外野手はセンターに絶対的レギュラーの近本光司が君臨。2年目の森下翔太はチームトップの16本塁打、73打点をマークし、主軸へと成長した。加えて、3年目の前川右京、5年目の井上広大の高卒大砲候補2人がプロ初本塁打を記録するなど飛躍の足がかりをつかんだ。今年のドラフトで指名するとすれば、若手がいないセンター近本の後継候補となるだろう。
1位指名は地元の逸材・金丸夢斗を指名か
以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。
1.今ドラフトの超目玉・関西大の金丸夢斗
野手陣に課題が散見されるが、今年は地元・兵庫出身の今ドラフト最注目投手がいるだけに、そちらを優先する可能性は十分にある。関西大の最速154キロ左腕・金丸夢斗だ。関西学生リーグで4年春までに20勝3敗、防御率0.88、奪三振率11.78と圧巻の成績を残している即戦力の逸材。1位での競合必至だが、お膝元の超目玉をみすみす逃すわけにはいかないだろう。
2.大山悠輔の後継となる強打の内野手
次点で大山の後釜候補となる強打の内野手を優先して確保しておきたい。将来性重視で高校生となると、花咲徳栄高・石塚裕惺がピカイチ。高校生のため即戦力とはいかないが、2年目から一軍で存在感を発揮してもおかしくない打力を有している。早稲田実高・宇野真仁朗もパンチ力ある候補として注目だ。大学生なら青学大・佐々木泰、上武大・荒巻悠がプロでも長距離砲となれるパワーを持っている。
3.即戦力となる捕手
即戦力捕手を獲得して現在の捕手陣に刺激を与えたい。今年の候補では、小林誠司（巨人）のような鉄砲肩が魅力の日本生命・石伊雄太、現有戦力にはいない打力型捕手のNTT東日本・野口泰司らが候補となるだろう。
※表の年齢は2024年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず（10月15日時点）
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