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楽天のドラフト補強ポイント 投手の新陳代謝進み今年は野手を上位指名か

2024 10/11 07:00SPAIA編集部
楽天の今江敏晃監督
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ⒸSPAIA

新陳代謝進んだ先発陣

シーズン最終盤までクライマックスシリーズ進出争いを繰り広げるも3年連続で4位に終わった楽天。課題の投手陣は今季もともにリーグワーストとなる577失点、防御率3.75を記録。打線も490得点、打率.242はともにリーグ4位と投打ともに上位陣には及ばなかった。

今季からチームの指揮を執った今江敏晃監督は球団創設20周年の節目で交流戦初優勝を飾るなど一定の成績を残したが、今季限りでの退任が濃厚な状況となっている。

そんな中、10月24日に開催されるドラフト会議は来季へ向けてチームの戦力を強化する最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含め楽天のドラフト補強ポイントを考えていく。

【過去のドラフト指名選手一覧はこちら】

先発投手,ⒸSPAIA


チーム防御率が3年連続リーグワーストと投手陣が振るわなかった楽天だが、先発陣は新陳代謝が進んでいる。4年目の早川隆久が自身初の規定投球回をクリアし、初の2桁11勝をマーク。同じく4年目の藤井聖もキャリアハイの11勝を挙げ、今季先発に転向した22歳の内星龍は20試合以上に登板し、ローテーションの一角を担った。

その他にも、ベテランの岸孝之が21試合に登板と健在。ドラ1ルーキーの古謝樹も15試合に登板し経験を積み、今季はケガに泣いた荘司康誠も控えており、昨季から一気に若返りに成功した。まだ層の薄さは否めないため、今ドラフトでも補充は必要だが、将来に明るい兆しが見え始めている。

リリーフ投手,ⒸSPAIA


リリーフ陣では先発から転向した新守護神・則本昂大がやや安定感を欠きながらも32セーブを記録し、MLBへ移籍した松井裕樹の穴を埋めた。酒居知史が48試合に登板してチームトップの25ホールド、鈴木翔天と藤平尚真が40試合以上に登板して防御率1点台をマークするなどブルペンを支えた。

その他にも、宋家豪、渡辺翔太ら実績組もおり、頭数は揃っているが、もう少し層を厚くしておきたいところ。大学生や社会人から即戦力となるリリーフ候補の指名を検討したい。

野手は遊撃手と将来の4番候補を指名?

捕手,ⒸSPAIA


捕手では6年目の太田光がチーム最多の81試合、25歳の石原彪が52試合でスタメンマスクをかぶった。シーズン終盤には打力のある安田悠馬が先発起用されるなど、陣容は揃っている。ただ、23歳以下に人材がいないため、将来に備えて高校生捕手の獲得を狙いたいところだ。

内野手,ⒸSPAIA


続いて内野手。一塁は鈴木大地が70試合、三塁は今季二塁から転向した浅村栄斗が96試合で先発出場していた。ただ、いずれも30台中盤を迎えており、あと何年スタメンを張れるかわからない。現状、長距離砲と言える後釜候補もいないため、将来クリーンアップを担える選手を指名しておきたい。

二塁は小深田大翔、遊撃は村林一輝がともに120試合以上でスタメンを張り、レギュラーとして定着。早急な補強は必要なさそうだが、ともに打撃にやや課題が残る。競争を促すためにも、二遊間候補の指名も要検討だ。

外野手,ⒸSPAIA


外野手はセンターの辰己涼介とライトの小郷裕哉が全143試合に出場するなどレギュラーに君臨。残るレフトには35歳の阿部寿樹、ルーキーの中島大輔ら9人が起用されたが、決め手に欠けた。打線もリーグ4位の72本塁打と長打力に乏しいだけに、打撃型の選手を獲得してさらに陣容を充実させたいところだ。

将来の4番候補を1位指名か、遊撃手も優先補強

以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。

1.将来のクリーンアップ候補
将来の4番候補を最優先で確保しておきたい。一、三塁は浅村栄斗や鈴木大地とベテラン勢がスタメンを張っており、有力な後釜候補もいないため、上位で有望株を指名したいところ。1位でいくなら花咲徳栄高・石塚裕惺や青学大・佐々木泰らが候補となる。

石塚は走攻守ハイレベルで揃う強打の内野手。特に打撃は芯でとらえる能力が高く、高校通算26本塁打を誇るパンチ力も併せ持つ。U18日本代表では4番も務めるなど実績も十分。プロ2年目から一軍で存在感を発揮してもおかしくないほど打撃の完成度は高い。将来の4番候補にうってつけの選手だろう。

2.将来性豊かな遊撃手
遊撃レギュラーには村林が定着しているが、その他の人材がおらず心許ない状況。即戦力となるショートを指名するなら明治大・宗山塁が筆頭候補だ。攻守ともにハイレベルで即一軍で通用する能力を備えており、1位で複数球団が競合するのは確実。人材が手薄な楽天の1位指名も十分あり得るだろう。将来性を重視して高校生を指名するなら、齋藤大翔(金沢高)、今坂幸暉(大阪学院大高)らが候補となる。

3.即戦力の先発投手
昨季より改善したとはいえ、まだまだ層が薄い先発陣に即戦力性の高い投手をさらに加えておきたい。社会人なら今季急成長を遂げた伊原陵人(NTT西日本)、吉田誠弥(西濃運輸)の両左腕、大学生なら最速157キロ右腕の篠木健太郎(法政大)、寺西成騎(日体大)らが候補となるだろう。

※表の年齢は2024年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月10日時点)

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