上位5人中4人が右打者のセ・リーグと好対照
プロ野球の2024年シーズンも残りわずかとなってきた。パ・リーグはソフトバンクがマジックを減らしており、優勝へ秒読み段階に入っている。各チーム、選手によってモチベーションは違うが、キーポイントのひとつが左打者対策だ。
なぜならパ・リーグの打率ベスト10のうち8人が左打者なのだ。1位・近藤健介(ソフトバンク)、2位・辰己涼介(楽天)、3位・佐藤都志也(ロッテ)、4位・森友哉(オリックス)、5位・鈴木大地(楽天)、7位・西川龍馬(オリックス)、8位・栗原陵矢(ソフトバンク)、9位・源田壮亮(西武)と並んでいる。
右打者は6位・郡司裕也(日本ハム)と10位・今宮健太(ソフトバンク)だけ。11位も周東佑京(ソフトバンク)、12位も小郷裕哉(楽天)と左打者が続いている。
ちなみにセ・リーグは1位・サンタナ(ヤクルト)、2位・宮﨑敏郎(DeNA)、3位・細川成也(中日)、5位・山本祐大(DeNA)と上位5人中4人が右打者。好対照な成績となっている。
つまりパ・リーグでは優勝やクライマックスシリーズを目指すにも、タイトル獲得を目指すにも左打者を抑えることが重要なのだ。そこで左打者の被打率ランキングを調べてみた。20投球回以上の投手ランキングは下の通りとなっている。
佐藤隼輔、横山陸人、マチャドがTOP3
1位は佐藤隼輔(西武)で被打率.113。筑波大からドラフト2位で入団して3年目の左腕だ。今季は38試合で1勝1敗13ホールド、防御率2.03と中継ぎとして活躍しており、右打者に対しても被打率.175をマークしている。
2位は.123の横山陸人(ロッテ)。右サイドハンドから平均151.8キロのストレートとスライダー、シンカー、カットボールを投げ分け、34試合で3勝1敗3セーブ12ホールド、防御率1.36をマークしている。右サイドにしては意外な気もするが、右打者に対しては被打率.240とあまり得意ではない。
3位のアンドレス・マチャド(オリックス)は被打率.126を記録している。メジャー通算137試合登板の実績を持ち、来日1年目の助っ人右腕。平均155.6キロのストレートとチェンジアップ、ツーシーム、スライダーを武器に50試合で4勝2敗23セーブ13ホールド、防御率1.42と最後を締めくくっている。
4位はプロ11年目の右腕・杉浦稔大(日本ハム)が.136で入った。今季は33試合で2勝3セーブ11ホールド、防御率1.91。夏場は二軍暮らしが続いていたが、9月1日に一軍復帰しており、残り試合はフル回転が期待される。
5位は被打率.143の杉山一樹(ソフトバンク)。三菱重工広島から入団6年目の右腕はストレート、フォーク、カーブの3球種のみで、4勝7セーブ、防御率1.86をマークしている。ただ、右打者には被打率.250、被本塁打2本とやや打たれている。
10人中8人は右腕の不思議
6位は鈴木翔天(楽天)で被打率.145をマークしている。61試合に登板した昨季に続き、今季も43試合で2勝1セーブ20ホールド、防御率1.90の好成績。右打者に対しても被打率.155と優秀だ。
7位は3勝3敗18セーブ12ホールドを挙げている田中正義(日本ハム)。昨季は25セーブを挙げながら防御率3.50だったが、今季は防御率1.94と改善。左打者には被打率.163、右打者も.200に抑えている。
8位は入団6年目のスチュワート・ジュニア(ソフトバンク)で被打率.164。昨季プロ初勝利を含む3勝を挙げた右腕は、今季も先発で8勝3敗、防御率2.02と一皮むけた投球を見せている。
9位はオリックスのルーキー古田島成龍。初登板からプロ野球タイ記録の22試合連続無失点をマークするなど、43試合で2勝1敗22ホールド、防御率0.89をマークしている。左打者には被打率.167、右打者にも.186と秀逸だ。
10位はドラフト1位で入団して8年目の藤平尚真(楽天)。今季は中継ぎとして14ホールドを挙げており、左打者に対して被打率.172をマークしている。チームのCS進出には欠かせない存在だ。
かつては“左殺し”のワンポイントリリーフも珍しくなかったが、最近は左打者だから左腕をぶつけるという常識は通用しなくなっている。実際、このランキングでも10人中8人は右投げだ。
パ・リーグの強力な左打者を封じ込めば自ずとチームへの貢献度は高くなる。残り試合で「左打者キラー」の活躍に期待したい。
※成績は2024年9月4日終了時点
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