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過去18回でタイトル獲得率は「55.6%」 セ・パ交流戦MVP受賞者の“その後”

2024 6/21 06:00SPAIA編集部
水谷瞬
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ⒸSPAIA

交流戦史上最高打率を樹立

6月18日(火)の阪神-日本ハム戦をもって、今年の『日本生命セ・パ交流戦』が閉幕。今年は楽天が13勝5敗で3週間の熱き戦いを制し、球団史上はじめての交流戦優勝を掴んだ。

19日には表彰選手が発表され、『日本生命 最優秀選手賞』は日本ハムの6年目外野手・水谷瞬が受賞した。18試合の出場で12球団最多の28安打をマーク、打率.438は交流戦史上最高打率という快挙。球史に名を刻む大暴れだった。

石見智翠館高から2018年のドラフト5位でソフトバンクに入団し、昨オフの現役ドラフトで日本ハムに移籍。新天地での挑戦は4月こそ躓くところもあったが、5月21日の一軍昇格後は圧巻のパフォーマンスを披露。今季の成績は28試合の出場で打率.376、3本塁打、16打点となっている。

交流戦での大ブレイクを経て、リーグ戦再開後も躍動に期待がかかる23歳。「交流戦MVP」という栄誉はその後のシーズンの弾みとなるのか、今回は過去の交流戦MVP受賞者の“その後”を振り返ってみたい。


「交流戦MVP」→「タイトル獲得」は過去10例

交流戦MVP


2005年に創設されたセ・パ交流戦。2020年は新型コロナウイルスの影響による短縮シーズンのため中止となり、今年が19回目の開催だった。

2005年と2006年はホーム&ビジター各3試合の全216試合制で行われ、2年連続でロッテが優勝。当時のMVPは「勝率1位チームから1名、期間中の記録などを考慮し選出」というルールがあり、初年度は期間中6試合の登板で5勝0敗と圧巻の成績を残した小林宏之が受賞。2年目は期間中に3勝13セーブを荒稼ぎした小林雅英が受賞しているが、ともに個人タイトルには手が届かなかった。

2007年からはホーム&ビジター各2試合の全144試合制に変更。その初年度は6試合の登板で5勝0敗、防御率1.01という好成績を残したライアン・グリンがMVPに輝いた。2008年は打率.366をマークして12球団最多の37安打を放ったソフトバンク・川﨑宗則が受賞。これが交流戦史上初、野手のMVP獲得だった。しかし、夏の北京五輪後に故障が発覚してシーズン後半は戦線離脱。打率.321も99試合の出場で規定打席には到達しなかった。

そして2009年からMVP受賞者のタイトル獲得ラッシュがはじまる。まずは2009年の杉内俊哉。交流戦負けなしの3勝でチームの連覇に貢献すると、シーズン通しても15勝(5敗)を挙げる活躍。勝率.750はダルビッシュ有(日本ハム)と並ぶリーグトップタイで、204奪三振はリーグトップ。投手二冠に輝いた。

2010年はこの年から登録名を変更した「T-岡田」がブレイク。交流戦では打率.313、6本塁打、26打点をマークした。最終的には33本塁打で、あの王貞治氏以来となる「22歳シーズンでの本塁打王獲得」という快挙を達成した。

2011年はこの年からソフトバンクに移籍した内川聖一が打率.326、4本塁打、20打点で初のMVP受賞。その後は故障を乗り越えて規定打席に達し、打率.338で自身2度目、史上2人目となる「両リーグ首位打者」の偉業を成し遂げた。

2012年は巨人が長らく続いたパ・リーグの天下を食い止め、セ・リーグ球団としてはじめての交流戦優勝。4勝0敗、防御率1.29の好成績で優勝に貢献した内海哲也がセ・リーグの選手として初のMVPに輝いた。シーズンでも15勝を挙げて2年連続の首位打者を獲得。防御率も1.98の好成績だったが、こちらは前田健太(広島/1.53)と野村祐輔(広島/1.980)に及ばずリーグ3位だった。

この2012年から2017年にかけては巨人かソフトバンクの選手がMVPを独占。2013年は当時の交流戦史上最高打率.418をマークした長谷川勇也がMVP。シーズン198安打を放ち、打率.341の好成績で首位打者と最多安打の二冠に輝いている。

2015年と2017年は柳田悠岐。交流戦MVPを複数回獲得した選手は、2024年現在で柳田ただ一人である。2015年は打率.363、出塁率.469の二冠のほか、34本塁打と32盗塁で13年ぶりとなるトリプルスリーも達成。リーグMVPにも輝いた。

ちなみに、この2015年から交流戦はホーム&ビジターの規定がなくなり、対戦カードごとにどちらかのホームで3試合を行う全108試合制に変更されている。

また、2013年からは7年連続で野手がMVPを受賞。交流戦誕生から5年時点でのMVPの内訳は投手4:野手1だったが、10年時点では投手5:野手5のタイになり、15年では投手5:野手10と一気に逆転している。

2017年の柳田を最後にタイトル獲得者は出なかったが、中止を挟んだ2021年以降の近3年は投手四冠の山本由伸に三冠王の村上宗隆、そして昨年も岡本和真が本塁打王と3年連続でタイトルホルダーを輩出した。

多くのMVP受賞者がキャリアハイを更新する成績を残しており、タイトル獲得は10例もある。過去18回で10例だから、タイトル獲得率は「55.6%」だ。

水谷の場合は出場機会を増やしたのが交流戦からとあって規定打席には届いておらず、ここからタイトル争いとなるとややハードルが高いが、この3週間でポテンシャルの高さは証明済み。一軍デビューイヤーをどんな成績で終えるのか、リーグ戦再開後も水谷のバットから目が離せない。

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