好調ソフトバンク先発陣の一角担う大津亮介
今年の交流戦も5カード目に入り、いよいよ佳境を迎えつつある。現在の首位は10勝4敗で楽天、セパの対戦成績でも40勝35敗2分けでパ・リーグが優勢な状況だ。
そのパ・リーグで首位を快走しているのがソフトバンク。チーム打率.261、245得点、37本塁打はいずれもリーグトップと破壊力抜群の打線が目立っているが、チーム防御率も2.10とダントツの数字を叩き出している。
特に先発陣の防御率が昨季3.63だったのが、今季はここまで2.08と1点以上も改善。開幕投手を務めた有原航平をはじめ計8人がここまで先発登板し、3人が防御率1点台、4人が2点台と充実の陣容を誇る。
今季ここまで先発陣の層が厚くなった要因の1つとして考えられるのが、リリーフから先発への転向組の活躍だろう。その1人が大津亮介だ。昨季はリリーフとして46試合に登板し、40.2投球回で2勝0敗、防御率2.43の好成績を残した。だが、今季はここまでの全7登板で先発し、45.2投球回で4勝2敗、防御率1.38と、それを上回る投球を見せている。
一般的にリリーフの方が投げるイニングが短く、初球から全力投球できるため、先発よりも優れた防御率を残しやすい。しかし、今季先発に転向した大津は昨季のリリーフ時よりも防御率を改善してみせている。2年目右腕は今季の先発転向にあたり自身の投球にどんな改良を行ったのだろうか。その要因を探ってみたい。
決め球チェンジアップ有効活用し奪三振増
まずは自身の能力によるところが大きい奪三振と与四球に注目してみると、奪三振の割合を示すK%(奪三振÷打者)は昨季の12.8%から21.9%へ大幅に向上。一方の与四球割合BB%(与四球÷打者)も6.7%から4.7%へと改善していた。先発に転向して数字が落ちるかと思いきや、昨年を上回る成績を残している。
この投球内容が向上した要因として考えられるのが、球種の投球割合の変化だ。昨季は投球の約半分がストレートだったが、今季はシュートとチェンジアップの割合を増やしており、打者を打ち取るための球種構成が大きく変わった。
特にチェンジアップは昨年時点で空振り率15.4%と決め球として有効な球種だった。今季はその投球割合を大幅に増やしただけでなく、空振り率も23.4%へと向上。これがK%の改善につながっているとみていいだろう。
ゴロ割合もリーグトップの数字をマーク
また、大津は打球性質内訳でも大きな変化を見せている。昨季は被打球に占めるゴロの割合が36.4%だったが、今季は56.1%と大幅増。ここまで40イニング以上投げているパ・リーグの投手(28人)の中でトップの数字をマークしている。
一般的に、ゴロはフライやライナーに比べて長打になりにくいため、失点を抑えるためにはゴロを多く打たせるのが良いとされている。今季の大津は武器であるチェンジアップを有効活用することで三振を増やし、ゴロを多く打たせることに成功。先発転向をきっかけにその潜在能力をさらに開花させている。
今季ここまでエース級の投球を披露している大津。自身の強みが生かせる投球スタイルに変更したことで、昨季から大きな飛躍を遂げた。シーズンを通じてこの投球をキープすることができるのか、引き続き注目していきたい。
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