計27勝の山本由伸と山﨑福也が移籍したオリックス
パ・リーグはソフトバンクが首位を快走しており、独走状態に入りつつある。優勝争いの最大のライバルと目されていたリーグ3連覇中のオリックスは4位に低迷。優勝争いどころか借金を返せない状態が続いている。
開幕前に不安視されていたのは、絶対エースだった山本由伸と昨季11勝を挙げた山﨑福也の穴だ。2人合わせて27勝、294.1イニングがゼロになるのだから当然だろう。
実績のある宮城大弥や21歳の剛腕・山下舜平大、伸び盛りの東晃平らに期待がかかったが、現実は厳しい。宮城は2勝4敗で5月10日に登録抹消され、山下は未勝利のまま二軍落ち、デビューから無傷の8連勝中だった東は4月12日の日本ハム戦で初黒星を喫し、今季1勝3敗と苦しんでいる。
先発復帰を見込んでいた山岡泰輔もいまだ一軍登板なし、中継ぎの宇田川優希は6試合に登板しただけで二軍落ち、クローザーの平野佳寿も抹消されている。
意外にも投手成績は昨季より良化
戦力ダウンした状況でケガ人まで出ると低迷も仕方ないように思えるが、データを見ると意外にも投手成績は2023年より良化している。
防御率は2023年の2.73から2.62に良化。与四球率(BB/9)は2.83から2.86とほとんど変わっていない。
奪三振率(K/9)は8.06から7.62、奪三振と与四球の比率を示すK/BBは2.85から2.67、1イニングあたり何人の出塁を許したかを示すWHIPは1.16から1.19と少し下がっているが、FIPは2.67から2.56に良化している。
防御率は安打性の打球が野手のファインプレーでアウトになったり、打ち取った打球でもポテンヒットになったり、投手がコントロールできない守備の影響も受けるため、被本塁打・与四死球・奪三振と投手の能力だけを評価する指標がFIPだ。
数値が低いほど投手の能力が高いことを示すFIPが2023年より良化しているのは意外に感じられるが、絶対エースの穴は全員でカバーできていると言える。
打撃成績は軒並みダウン
では、打撃成績はどうなのか。2023年と比較したのが下の表だ。
打率は.250から.241、長打率は.369から.320、出塁率は.311から.303、OPSは.680から.624と軒並み悪化。チーム総得点を試合数で割った1試合平均得点は3.55から2.98、本塁打数を試合数で割った1試合平均本塁打も0.76から0.37に減少している。
山本由伸を始めとした投手陣の話題が多かったためあまり目立っていなかったが、2023年のオリックスのチーム打率.250、安打数1194、本塁打数109はいずれもリーグトップだった。
選手別に見ても森友哉が打率.294、18本塁打、頓宮裕真が打率.307、16本塁打、杉本裕太郎が打率.242、16本塁打、中川圭太が打率.269、12本塁打、紅林弘太郎が打率.275、8本塁打とよく打っていた。
それが今季は森友哉が打率.248、0本塁打、頓宮裕真が打率.192、4本塁打、杉本裕太郎が打率.178、0本塁打、中川圭太が打率.291、0本塁打、紅林弘太郎が打率.285、1本塁打にとどまっており、昨年首位打者の頓宮と2021年本塁打王の杉本は登録抹消されている。
FAで広島から移籍した西川龍馬も打率.221、1本塁打と振れていない。細かいことを挙げるとキリがないが、どちらかと言えば、奮闘している投手陣より湿っている打線が低迷の大きな要因のようだ。
オリックス打線の復調はいつの日か。パ・リーグを盛り上げるためにも王者の巻き返しが期待される。
※成績は5月23日終了時点
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