今季既に6本塁打放っている近本光司
球団史上初のリーグ連覇を目指す阪神の絶対的リードオフマン・近本光司がプロ6年目の今季、さらなる進化を見せている。
昨季はスタメン出場した125試合のうち124試合で「1番・中堅」を務め、打率.285、出塁率.379、リーグトップとなる12本の三塁打を放ち、キャリアハイとなるOPS.809をマーク。28盗塁で自身4度目の盗塁王に輝くとともに、3年連続でベストナインとゴールデングラブをダブル受賞した。
そんな不動のトップバッターは今季もここまでリーグ3位タイとなる41安打、同4位の20個の四球を選び、チームトップの出塁率.363をマーク。3三塁打、6盗塁ともにリーグトップと、自身の持ち味をいかんなく発揮し、打線をけん引している。
ただ、今季の近本はそれだけでは終わらない。6本塁打はトップと2本差のリーグ4位タイ、70塁打は細川成也(中日)、岡本和真(巨人)に次ぐ3位、長打率.476は村上宗隆(ヤクルト)、牧秀悟(DeNA)らを上回る4位と、長打力でもリーグを代表する強打者たちと渡り合っているのだ。
長打力示す指標が大幅に良化
俊足巧打が持ち味の近本は2021年に記録した10本塁打が自身最多だが、今季は37試合消化時点ですでに6本塁打。このままいけばキャリアハイを大きく更新するのは間違いなく、20発超えも十分狙えるペースで量産している。
なぜここまで急激に本塁打が増加したのか、その要因を探るためデータを見てみると、ここ2年で長打力に関する指標が大きく良化していた。下の表は近本の長打力に関する各指標をルーキーイヤーの2019年から年度別でまとめたものだ。
打者の長打力を表す指標であるISO(長打率-打率)は、昨季キャリアハイとなる.144を記録。また、長打になりやすい外野フライの割合(OF割合:外野へのフライ打球÷総打球)も昨季は44.1%と、過去4年と比べ大幅に上昇しており、昨季時点で長打力増の下地はできていた。
そして、今季はその外野フライ割合を維持しつつ、外野へのフライ打球が本塁打になる確率を表すHR/OFが10.7%と大幅に良化している。ただ外野フライを打つだけでなく、質の高い打球を打てるようになったことで昨季よりもISOが大幅に上昇。これが各球団の主砲に匹敵する長打力を発揮できている要因と言える。
これまでの自身のストロングポイントである俊足巧打に加え、今季は長打力を獲得し、超進化を遂げている近本。昨季はケガによる途中離脱もあり、シーズンMVPは同僚の村上頌樹に譲ったが、今季「アレンパ」達成ならば、近本がMVP候補筆頭となっていることは間違いないだろう。
さらなる進化を遂げた虎のシン・切り込み隊長は今季どんなシーズン成績を残すのか、今から楽しみだ。
※成績は5月14日終了時点
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