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速球に強いヤクルトの中軸、好調ドミンゴ・サンタナは2部門制覇 プロ野球“細かすぎる月間No.1”を調査【野手編】

2024 5/2 06:00SPAIA編集部
ヤクルトのドミンゴ・サンタナ
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ⒸSPAIA

隠れた選手の特性が明らかに

プロ野球の2024年シーズンも各チームが25試合以上を消化。開幕からあっという間に1カ月が過ぎ、5月戦線がスタートした。

徐々に各チームの勢いの差も表面化してくる中、個人を見ても好スタートを切った選手と苦戦を強いられている選手の差が見え始めている。

そこで今回は、12球団・各選手の4月の月間成績に注目。なかでもあまり表立って取り上げられることの少ない“細かすぎる”データに絞って調査してみた。

野手編でピックアップしたのは「対左投手」「対速球」「対高球」「対低球」の4項目。なお、規定打席に関しては12球団の平均試合数「26.1」に「3.1」を掛け合わせた「81打席」としている。各部門のNo.1選手は以下の通り。


細かすぎる月間No.1データ


4月のNo.1“左キラー”は意外にも左打者

▼ プロ野球「対左投手」打率トップ3(2024年4月)
.444 野間峻祥(広島)
.429 レアンドロ・セデーニョ(オリックス)
.400 今宮健太(ソフトバンク)

3・4月のプロ野球で最も左投手を得意としていたのは、広島の10年目・野間峻祥。意外にも左打者がNo.1の座に輝いた。

オープン戦では11試合の出場で打率.091と苦しんでいた31歳だが、開幕2戦目以降上位打線に定着。20試合の出場で打率.304、本塁打は0も二塁打は7本、三塁打も2本放って長打率.443の好成績を残した。

一般的に左対左は打者が不利と言われがちだが、野間の場合は対左投手の打率が.444(18-8)に対して対右投手が.262(61-16)とセオリーと逆行している。5月以降も「野間vs.左投手」のシーンは要チェックだ。


速球に強いヤクルトの中軸

▼ プロ野球「対速球」打率トップ3(2024年4月)
.514 ドミンゴ・サンタナ(ヤクルト)
.457 柳田悠岐(ソフトバンク)
.436 村上宗隆(ヤクルト)

3・4月のプロ野球で最も速球に強かったのは、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ。来日4年目の助っ人が驚異の.514というハイアベレージを残した。

昨季136試合の出場で打率.300をマークするなど安定した活躍が光った31歳は、今年も開幕から好調をキープ。4月終了時点の打率.348は12球団No.1で、OPS.892もリーグ3位の好成績となっている。

なかでも変化球に対しては打率.246(57-14)で本塁打0の一方、ストレートに対しては.514(35-18)で本塁打も2本。150キロ以上も.667で本塁打1と剛速球も苦にしていない。

ちなみに、2位の柳田を挟んで3位が村上、さらにその下の4位にはホセ・オスナの名前も。“速球キラー”上位4名のうち3名がヤクルトの選手だったというのも興味深い。


「高め速球」の鬼

▼ プロ野球「対高め」打率トップ3(2024年4月)
.435 ドミンゴ・サンタナ(ヤクルト)
.435 牧原大成(ソフトバンク)
.421 佐野恵太(DeNA)

続いて高めのボールに強かった選手を調べてみると、「対速球」で1位に輝いたサンタナがここでも1位タイに。もう1人がソフトバンクの14年目・牧原大成となった。

成績はともに23打数10安打。サンタナはうち2本が本塁打で、今季放った2本の本塁打はいずれも「高め」の「速球」だった。

牧原は今季22試合の出場で打率.280と好スタートを切ったものの、現在は『右内腹斜筋損傷』のため戦線離脱中。競技復帰までは1~2カ月と発表されており、早期の復帰が待たれる。


万波に進化の予兆?

▼ プロ野球「対低め」打率トップ3(2024年4月)
.361 万波中正(日本ハム)
.326 今宮健太(ソフトバンク)
.324 宗佑磨(オリックス)

最後は低めのボールに強かった選手。No.1は日本ハムの6年目・万波中正だった。

昨季はシーズン最終盤までパ・リーグ本塁打王を争い、ベストナインとゴールデングラブ賞をW受賞するなど大ブレイクを果たした24歳。しかし、さらなる飛躍が期待される今季は4月終了時点で打率.253、3本塁打で11打点。好発進とは言えない現状となっている。

当然ながら他球団のマークが厳しくなっているという点は大いにあるだろう。その中での奮闘ぶりが垣間見えるのが「コース別」の成績で、昨年は内外関わらず真ん中のゾーンで数字を稼ぎ、高め・低めは1割後半から2割前半の打率となっていたところ、今季は真ん中低めが.286(7-2)で外角低めが.333(18-6)、内角低めは.417(12-5)と好成績を並べている。

その分真ん中のゾーンの成績が落ちている点はやや気がかりだが、低めへの強さを維持しながら昨年打ちまくった真ん中の数字も上げていくことができれば、もう一段階上の打者へ進化できるはず。今見せているのはその“予兆”なのか、引き続きチェックしていきたい。


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