辰年に逆襲を期す立浪竜
2023年シーズンは前年に続く6位に沈んだ中日ドラゴンズ。立浪和義監督は就任から2年連続で最下位という屈辱を味わった。
2年連続最下位でも球団初だっただけに、3年連続は許されない。最下位回避は最低限の目標、2024年は4年ぶりのAクラス入りと13年ぶりのリーグ制覇を目指す。
チームは課題の打線強化に乗り出し、今オフは自由契約組から中田翔や中島宏之といった実績豊富なベテランを含む5名の野手を一気に獲得。さらに新外国人選手も外野手のアレックス・ディカーソンをはじめ、育成も含めて新たに契約を結んだ3名はいずれも野手だった。
一方の投手はドラフト1位で亜細亜大の草加勝を指名。即戦力の期待もかかっていたが、初めてのキャンプを控えた新人合同自主トレ中に右肘の故障が発覚。慎重な出だしを切らざるを得ない状況となってしまった。
その他の新顔では、現役ドラフトで獲得した梅野雄吾とドラフト6位ルーキーの加藤竜馬がキャンプ一軍メンバー入り。この春に関しては2人のアピールに期待しつつ、激化する競争の中で殻を破る新星の登場が待たれる。
投手・根尾昂が初のキャンプ一軍スタート
特に注目を浴びているのが、プロ6年目を迎える根尾昂だ。かつては名門・大阪桐蔭高の主力として甲子園春夏連覇を達成、2018年のドラフト会議では4球団から1位指名を受けた逸材も、プロの舞台ではここまで大きなインパクトを残せずにいる。
2021年は初めての開幕一軍入りを果たしてキャリアハイとなる72試合の一軍出場を記録したが、打率.178と打撃で苦戦。すると2022年の6月、シーズン途中に異例の投手転向が発表される。投手に専念した昨季はファームで23試合に登板。0勝7敗も防御率は3.43と奮闘を見せ、一軍では2試合の登板で防御率0.71という成績を残した。
2000年生まれの根尾は今年4月で24歳を迎える年男。辰年の飛躍を期待する声も多い中、投手としては初めてのキャンプ一軍スタートとなった。開幕ローテーション入りとローテ定着を目指すうえで、この6年目の春が重要な時間となるのは間違いない。
昨季の先発陣を振り返ってみると、次代のエース・髙橋宏斗と小笠原慎之介がともに24試合に先発して最多タイの7勝。次いで柳裕也が22試合、ベテランの涌井秀章が21試合に先発した。いずれも勝ち星よりも負けの数が先行してしまっているが、その点に関しては打線の援護に恵まれなかった部分もあり、個々の顔ぶれとしては強力だ。
そこに昨季11試合に先発登板した福谷浩司と松葉貴大、故障離脱もあって8試合の登板に留まったものの、3勝1敗と勝ち越したウンベルト・メヒアも有力な先発候補として控え、加えて昨季は左肘の手術を受けた影響で長期離脱を強いられていたエースの大野雄大も帰ってくる。この争いを制してローテのイスをつかみ取るのは容易ではない。
キャンプ、オープン戦と継続したアピールを続けて今年こそ一軍に定着することができるか。年男・根尾昂、6年目の開花に期待したい。
“ドラ1”による熾烈な争いに期待?
こうして昨季の実績から先発候補を挙げてみると、ある共通点に気が付く。
▼ 中日・主な先発候補(昨季先発数順)
髙橋宏斗(2020年ドラフト1位)
小笠原慎之介(2015年ドラフト1位)
柳裕也(2016年ドラフト1位)
涌井秀章(2004年西武ドラフト1位)
松葉貴大(2012年オリックスドラフト1位)
福谷浩司(2012年ドラフト1位)
根尾昂(2018年ドラフト1位)
大野雄大(2010年ドラフト1位)
外国籍選手のメヒアを除く全員が、かつてドラフト1位で指名を受けた選手たち(他球団も含む)であった。
“ドラ1ローテ”で投手王国再建へ。となるともう一人奮起が待たれるのが、2年目の仲地礼亜である。
沖縄県内の大学から初めてドラフト指名を受けた選手としても注目を浴びた2022年のドラ1右腕だが、昨季は一軍で9試合に登板して2勝5敗、防御率4.98という成績。プロ初勝利は挙げたものの、初めての契約更改でダウン提示を受けたように首脳陣の期待に応えることはできなかった。
巻き返しを図るべく、年明けは先輩右腕・柳の自主トレに参加。育成の松木平優太とともにキャンプに向けた準備を進めてきた。昨季の悔しさと経験を糧に、2年目の進化に期待したい。
豪華な“ドラ1ローテ”がチームの新たな目玉となり、補強によって課題の得点力も改善されたとなれば、2年連続最下位から一気の浮上があっても不思議ではない。
今年の春季キャンプは打の新戦力はもちろんのこと、かつての“ドラ1”たちによる熾烈な先発ローテーション争いにも注目だ。
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