二軍で11本塁打、48打点の井上広大
18年ぶりのセ・リーグ制覇、38年ぶりの日本一を果たし、2024年は連覇に挑む阪神タイガース。今オフは大きな補強はしておらず、現有戦力の底上げが求められる。
昨季は村上頌樹が彗星のように現れ、10勝6敗、防御率1.75の好成績で最優秀防御率のタイトルだけでなく、1980年の木田勇(日本ハム)、1990年の野茂英雄(近鉄)以来3人目となる新人王とMVPの同時受賞を果たした。
投手陣は12球団屈指の陣容だけに、期待されるのは野手の新戦力。特にリーグ5位のチーム本塁打84本と少ないことを考えると、スラッガーの台頭が望まれる。
今春キャンプからアピールが期待される一人が井上広大だ。履正社高の4番として2019年夏の甲子園でチームを優勝に導き、高校通算49本塁打のパンチ力は誰もが認める素質の持ち主。身長189センチ、体重101キロの恵まれた体格も文句ない。しかし、同年ドラフト2位で入団後4年が経ったが、一軍ではいまだノーアーチに終わっている。
2023年も二軍では、いずれもウエスタン・リーグ2位の11本塁打、48打点をマーク。飛ばす力は疑いようがない。あとは一軍での経験と、結果に一喜一憂しないメンタル面の強化だろう。
結婚して勝負のプロ5年目
技術的な課題は確実性だ。「打席÷三振」で算出される2023年ウエスタンでのPA/Kは3.12。二軍でも約3打席に1回は三振している。
昨春キャンプでも岡田彰布監督からキャンプMVPに選ばれ、開幕一軍に名を連ねたものの、37打席で18三振を喫し、5月19日に登録抹消されてからは二軍暮らしが続いた。
昨季、チームで2桁本塁打を放ったのは佐藤輝明(24本)、大山悠輔(19本)、森下翔太(10本)の3人だけ。ライトからレフトへの浜風が強い甲子園を本拠地とする阪神は左打者にとって不利だが、逆に井上のような右の長距離砲なら浜風の恩恵も期待できるのだ。
今オフには結婚したことも発表。プロ5年目への意気込みは相当なものがあるはずだ。昨季の村上頌樹のような飛躍が期待される。
前川右京もプロ初アーチ期待
期待の若手をもう一人挙げるとすれば前川右京だろう。智弁学園高から2021年ドラフト4位で入団して3年目。昨季は一軍で33試合に出場してプロ初安打を放つなど打率.255をマークした。二軍では打率.320、2本塁打、17打点と飛躍への足掛かりをつかんでいる。
高校通算37本塁打を放ったパンチ力で、高校の先輩でもある目標の岡本和真(巨人)のように大きく育つことが期待される。まずは2024年に一軍でプロ初アーチを見てみたい。
投手では森木大智への期待も高い。高知高から2021年ドラフト1位で入団した右腕。中学生時代に150キロをマークして「スーパー中学生」と騒がれたポテンシャルはまだ開花していない。高校時代に出場が叶わなかった甲子園で躍動する姿が楽しみだ。
東海大札幌高から入団2年目の左腕・門別啓人や、帝京長岡高から同じく2年目の右腕・茨木秀俊も期待値は高い。2024年に甲子園を沸かせる若虎は誰か。まずはキャンプでのアピールを楽しみに待とう。
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