背番号は吉田正尚がつけていた「34」
オリックスの新人入団発表が11月30日に大阪市内で開かれ、育成指名5人を含む計12人が出席した。
ドラフト1位の上田西高・横山聖哉内野手(18)は高校通算30本塁打を誇る走攻守3拍子そろった大型ショート。背番号はかつて吉田正尚(現レッドソックス)がつけていた34に決まった。
「肩と長打力には自信があります。目標は吉田正尚選手ですが、ゆくゆくは自分が目標とされる選手になりたいです」
吉田正尚については「フォロースルーと遠くに飛ばすところに憧れます。飛距離が1人だけ違うんで」と同じ左打者としてリスペクトしているが、「吉田選手の真似ではなく自分の形を貫きたい」と地に足がついている。
期待の証として吉田本人のバットをプレゼントされ、「家に飾ってありますが、入寮する時に持ってきます」と笑顔を見せた。
高校に入ってから体重25キロ増やした向上心
横山の高い野球センスは疑いようがないが、オリックスのショートには紅林弘太郎がいる。
故障で辞退したが、11月に行われたアジアプロ野球チャンピオンシップの侍ジャパンに選ばれ、今季のパ・リーグ遊撃手のベストナインにも選出。ソフトバンク今宮健太が19票、西武・源田壮亮が14票だったのに対し、226票を集めた。今やパ・リーグを代表するショートの一人だ。
それにもかかわらず同じポジションの横山を指名したのは、それだけ魅力満載の逸材だからだ。下山真二スカウトは証言する。
「今年の夏の県予選で見た時より、1カ月後に見た時の方がはるかに体が大きくなっていてビックリしました。スイングも強いし、肩もいい。大きいけど動けるんです」
身長181センチ、体重85キロの堂々の体格は意識して作り上げたもの。本人が「高校に入ってから身長は10センチ伸びて、体重は25キロ増えました」と証言する通り、食事量を増やし、ウェイトトレーニングで鍛え上げた。
向上心を持って自ら課題解決に取り組む姿勢はプロとして必要な資質。野球センスだけでなく、人間性もドラフト1位に相応しい逸材なのだ。
紅林弘太郎とのポジション争いでレベルアップ期待
もちろん、ショートという難しいポジションで簡単にレギュラーを獲れるほどプロは甘くない。4学年上の紅林については「すごく高い壁」と認めながらも「今はかないませんが、いずれは自分がオリックスのショートと言われるように頑張りたい」とレギュラー奪取を誓った。
紅林と高いレベルで競い合えば、チーム力も確実にアップするだろう。ショートを守れる器用さがあればセカンドやサードなどにコンバートすることも可能。仮に横山が紅林を追いやるようなことがあれば、それは内野陣の劇的なレベルアップを意味する。
中嶋聡監督は会見の冒頭で「新人の頃の気持ちは忘れるものですが、感謝の気持ちだけは忘れず、人として大きく育ってほしい」と12人のルーキーに期待を込めた。
大きく育てることには定評のあるオリックスで、またしてもビッグスターが誕生するか。数年後、京セラドーム大阪で躍動する横山を見る日を楽しみに待とう。
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