西武、楽天が投手、日本ハムは野手を重点的に指名
4年ぶりに有観客での開催となった2023年ドラフト会議。今年は大学生投手が豊作とあって、2位指名までに12人が指名された。また指名全体でも、投手がここ5年で最多となる71人(育成指名含む)にのぼるなど、投手に好素材が多い市場だったようだ。
各球団はこの傾向をうまく読み取り、チームの補強ポイントに適した選手を指名できたのだろうか。各球団の指名結果を評価した。今回はパ・リーグ編。
【2023年ドラフト指名選手一覧はこちら】
【日本ハム】評価:B
1位指名は2度抽選を外すも、東都の最速左腕・細野晴希(東洋大)を確保。スケールの大きさでは今年の候補の中ではNo.1なだけに、先発としての育成に期待したい。投手は他に育成3位で指名した加藤大和(帝京大可児高)のみ。上沢直之、加藤貴之が今オフ流出危機だが、既存戦力で充足可能と判断したか。
野手は2位で大学No.1捕手の進藤勇也(上武大)、3位でセンター候補の宮崎一樹(山梨学院大)、4位で将来の4番候補・明瀬諒介(鹿児島城西高)と各ポジションに好素材を指名。ただ、他球団に比べ手薄な二遊間は指名なしと、投手、野手ともにやや課題の残る結果となった。
【西武】評価:A
今年の候補の中で最も実力があると評価した武内夏暉(国学院大)の指名を事前に公表。3球団競合となるも松井稼頭央監督が見事に引き当てた。2位以降では、今季不調や離脱者が相次いだブルペン強化へ大学生、社会人、独立リーグから1人ずつ指名。さらに、将来性あふれる高校生の先発候補を2人指名と、支配下7人中6人が投手の指名だった。
近年弱点となっている外野手や外崎修汰、源田壮亮の後継者候補も欲しかったが、既存の選手たちの伸びしろに期待といったところだろうか。髙橋光成のメジャー挑戦意向など今後の主力投手流出に備えつつ、今年の市場に合わせた戦略通りのドラフトとなった。
【楽天】評価:C
1位は2度抽選を外し、古謝樹(桐蔭横浜大)を指名。即戦力として期待されるが、安定感に欠けるところがあるのは不安要素だろう。2位以降では高校生の長身右腕を3人、大学生右腕を1人と素材型の選手を複数確保。先発、リリーフともに不安を抱えており、即戦力投手が必要と思われる中、将来性を重視した指名となった。
野手は素材型の高校生内野手2人と、センターを守れる中島大輔外野手(青学大)を指名。炭谷銀仁朗が戦力外となった捕手や大砲候補の指名を優先したかったが、今年の市場では難しかったか。投手、野手ともに補強ポイントからやや外れた指名で、不安の残るドラフトとなった。