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【ドラフト通信簿】パ・リーグは世代No.1確保の西武とソフトバンクが高評価、低評価となったのは?

2023 10/29 07:00SPAIA編集部
パ・リーグの1位指名,ⒸSPAIA
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西武、楽天が投手、日本ハムは野手を重点的に指名

4年ぶりに有観客での開催となった2023年ドラフト会議。今年は大学生投手が豊作とあって、2位指名までに12人が指名された。また指名全体でも、投手がここ5年で最多となる71人(育成指名含む)にのぼるなど、投手に好素材が多い市場だったようだ。

各球団はこの傾向をうまく読み取り、チームの補強ポイントに適した選手を指名できたのだろうか。各球団の指名結果を評価した。今回はパ・リーグ編。

【2023年ドラフト指名選手一覧はこちら】

【日本ハム】評価:B
1位指名は2度抽選を外すも、東都の最速左腕・細野晴希(東洋大)を確保。スケールの大きさでは今年の候補の中ではNo.1なだけに、先発としての育成に期待したい。投手は他に育成3位で指名した加藤大和(帝京大可児高)のみ。上沢直之、加藤貴之が今オフ流出危機だが、既存戦力で充足可能と判断したか。

野手は2位で大学No.1捕手の進藤勇也(上武大)、3位でセンター候補の宮崎一樹(山梨学院大)、4位で将来の4番候補・明瀬諒介(鹿児島城西高)と各ポジションに好素材を指名。ただ、他球団に比べ手薄な二遊間は指名なしと、投手、野手ともにやや課題の残る結果となった。

【西武】評価:A
今年の候補の中で最も実力があると評価した武内夏暉(国学院大)の指名を事前に公表。3球団競合となるも松井稼頭央監督が見事に引き当てた。2位以降では、今季不調や離脱者が相次いだブルペン強化へ大学生、社会人、独立リーグから1人ずつ指名。さらに、将来性あふれる高校生の先発候補を2人指名と、支配下7人中6人が投手の指名だった。

近年弱点となっている外野手や外崎修汰、源田壮亮の後継者候補も欲しかったが、既存の選手たちの伸びしろに期待といったところだろうか。髙橋光成のメジャー挑戦意向など今後の主力投手流出に備えつつ、今年の市場に合わせた戦略通りのドラフトとなった。

【楽天】評価:C
1位は2度抽選を外し、古謝樹(桐蔭横浜大)を指名。即戦力として期待されるが、安定感に欠けるところがあるのは不安要素だろう。2位以降では高校生の長身右腕を3人、大学生右腕を1人と素材型の選手を複数確保。先発、リリーフともに不安を抱えており、即戦力投手が必要と思われる中、将来性を重視した指名となった。

野手は素材型の高校生内野手2人と、センターを守れる中島大輔外野手(青学大)を指名。炭谷銀仁朗が戦力外となった捕手や大砲候補の指名を優先したかったが、今年の市場では難しかったか。投手、野手ともに補強ポイントからやや外れた指名で、不安の残るドラフトとなった。

ソフトバンクが路線変更、オリックスは大学生の指名なし

【ソフトバンク】評価:A
投手は1位で武内の抽選を外すも、高校生No.1投手・前田悠伍(大阪桐蔭高)の指名に成功。さらに、2位で先発候補の岩井俊介(名城大)を指名するなど大学生、社会人投手を4人確保し、即戦力と将来性、双方を担保する大満足の結果となった。

野手は3位で大砲候補の廣瀬隆太(慶応大)と下位で地元福岡の藤田悠太郎(福岡大大濠高)を指名。野手は不作だったため、補強ポイントに合致する選手とはいかなかったが、例年の独自路線とは異なり、市場にマッチしたドラフトを見せた。

【ロッテ】評価:B
1位は抽選を3回外すまさかの展開も、大学生No.1内野手の上田希由翔(明治大)を確保。安田尚憲しかいないサード、または怪我人が続出した外野での起用も考えられ、陣容的には好都合の選手の指名に成功した。

2位で即戦力の期待かかる大谷輝龍投手(独立L・富山)、3、4位で将来性の高い高校生投手を指名し、投手層に厚みを加えた。さらに、松川虎生のライバル候補として打撃型捕手の寺地隆成(明徳義塾)を5位で指名。欲を言えば中村奨吾の後釜を指名したかったが、十分満足のいくドラフトとなったのではないだろうか。

【オリックス】評価:A
リーグ3連覇を果たし充実の戦力を誇るオリックスは、大学生投手が豊作と言われる中、高校生No.1遊撃手の横山聖哉(上田西高)を単独指名。さらに、上位4枠が高校生と思い切った戦略をとった。その一方で、下位では即戦力として社会人投手を3人指名しており、抜かりはない。

球団として育成力に自信を持つが故の大胆な指名となったが、指名した高校生はいずれも素材型で一軍の舞台にあがるまでは時間がかかるだろう。戦略は事前の思惑通りだったようだが、過去に育成に振り切るが思い通りの戦力強化につながらなかった球団もあるだけに、一抹の不安も感じる。

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