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プロ野球ドラフトくじ運ランキング2023年度版 1位はロッテ、最下位は?

2023 10/21 06:00SPAIA編集部
ロッテ吉井理人監督,ⒸSPAIA
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大学生投手に指名競合しそうな2023年ドラフト

プロ野球のドラフト会議が10月26日に開催される。プロ志望届を提出した高校生は139人、大学生は177人。社会人選手らも含め、指名を待つ選手にとっては野球人生を左右する「運命の一日」だ。

毎年のようにドラマが起きるのが1位指名が重複した場合の抽選。入りたい選手と獲りたい球団が合致しても、希望が叶って笑顔が弾ける場合もあれば、叶わずに肩を落とす場合もある。抽選ばかりは運以外の何物でもなく、できることと言えば祈るくらいだろう。

過去最多の重複は1989年の新日鉄堺・野茂英雄と1990年の亜細亜大・小池秀郎の8球団。野手では1995年のPL学園・福留孝介、2017年の早稲田実・清宮幸太郎の7球団が最多となっている。

今年は大学生投手の評価が高く、青山学院大・常廣羽也斗、中央大・西舘勇陽、東洋大・細野晴希、国学院大・武内夏暉らは指名の競合が予想される。そこで重要になってくるのが「くじ運」だ。過去には、左手で当たりくじを引いたことから「黄金の左」などと呼ばれた球団社長や監督がいたのも、それだけ当たりくじを引いた喜びが大きいからだ。

では、高校生ドラフトと大学・社会人ドラフトを再統合して一括開催になった2008年以降で、各球団のくじ運はどうなっているだろうか。ランキングは下の通りとなっている。

ドラフト1巡目抽選結果

佐々木朗希、藤原恭大ら引き当てたロッテは10勝6敗

1位はロッテ。2022年は楽天と競合した立教大・荘司康誠を外したが、2019年の大船渡高・佐々木朗希、2018年の大阪桐蔭高・藤原恭大、2015年の仙台育英高・平沢大河、2013年の東京ガス・石川歩らをことごとくゲットした。

1位を外した場合でも、2020年は早稲田大・早川隆久(現楽天)の外れ1位で法政大・鈴木昭汰、2017年は早稲田実・清宮幸太郎(現日本ハム)の外れ1位で履正社高・安田尚憲、2016年は創価大・田中正義(現日本ハム)の外れ1位で桜美林大・佐々木千隼らを引き当てている。

抽選は10勝6敗で勝率.625。特に外れ1位は5戦5勝と勝率10割だ。抽選で獲得した結果、今も主力として活躍している選手が多いことを考えると球団にとってメリットは大きい。昨年のドラフト会議では吉井理人監督がくじを引いて荘司康誠を外したが、今年も抽選になった場合はどうなるか。

ロッテのドラフト1巡目抽選結果

「外れ外れ1位」が5度もある阪神

2位・中日と3位・西武が勝率5割を超えているが、その他の9球団は5割以下。18年ぶりリーグ制覇を果たした阪神は5勝15敗の勝率.250で9位と、ドラフトでは苦戦している。

昨年は高松商の浅野翔吾を巨人と2球団競合して外し、中央大・森下翔太を無抽選で獲得。即戦力の森下だから優勝に貢献できたことは間違いないが、それはあくまで結果論だ。2021年も市和歌山高・小園健太(現DeNA)を外して高知高・森木大智を獲得した。

この15年間で抽選を2度外して「外れ外れ1位」となったことが5度もある。2013年の九州共立大・大瀬良大地(現広島)、2014年の早稲田大・有原航平(現ソフトバンク)、亜細亜大・山﨑康晃(現DeNA)、2017年の早稲田実・清宮幸太郎、履正社高・安田尚憲、2018年の大阪桐蔭高・藤原恭大、立命館大・辰己涼介(現楽天)ら外してきた選手をもし引き当てていれば、18年も優勝から遠ざかることはなかったかも知れない。

そう考えると、4球団競合した2020年の近畿大・佐藤輝明を獲得できたのは大きかった。矢野燿大前監督が当たりくじを引いたスラッガーは、左打者では史上初となる新人から3年連続20本塁打を放って優勝に貢献した。

阪神のドラフト1巡目抽選結果

浅野翔吾を引き当てて11連敗でストップした巨人

昨年は高松商の浅野翔吾を引き当てた巨人だが、くじ運は決して良くない。3勝12敗で勝率2割と苦戦している。

2021年は4球団競合した西日本工業大・隅田知一郎(現西武)を外し、関西国際大・翁田大勢を指名。2020年も佐藤輝明を外して、亜細亜大・平内龍太を無抽選で獲得した。

さらに2016年から2019年は4年連続で抽選を2度外して「外れ外れ1位」での獲得。2011年の英明高・松本竜也を引き当ててから昨年に浅野を当てるまで、1位の抽選は11連敗していた。

今オフ、原辰徳監督が退任し、阿部慎之助新監督が就任。仮に抽選になった場合に新指揮官がくじを引くとなれば、監督就任最初の大仕事と言えそうだ。

巨人のドラフト1巡目抽選結果


オリックスは抽選で1勝10敗も…競合回避で強化?

ランキング最下位はパ・リーグ3連覇したオリックス。2010年に早稲田大・大石達也、東海大・伊志嶺翔大、履正社高・山田哲人(現ヤクルト)と3回連続で外して、外れ外れ外れ1位で前橋商・後藤駿太(現中日)を獲得したことがあり、通算1勝10敗と勝率は1割を切っている。

2019年も東邦高・石川昂弥(現中日)、JFE西日本・河野竜生(現日本ハム)を外して興南高・宮城大弥を獲得、2020年も佐藤輝明を外して福岡大大濠高・山下舜平大を獲得した。宮城と山下のプロ入り後の成長ぶりを見ると「残り福」だったと言える。

また、単独指名も多く、2014年の明治大・山崎福也、2015年の青山学院大・吉田正尚(現レッドソックス)、2016年の東京ガス・山岡泰輔を一本釣り。過去15年で唯一引き当てた2017年のJR東日本・田嶋大樹も含め、入団後に主力を形成している現状は、できるだけ競合を避けて確実に戦力を積み上げてきた結果なのかも知れない。

オリックスのドラフト1巡目抽選結果


言うまでもないが、プロに入れば横一線。ドラフト1位でも、外れ1位でも、育成指名でも関係ない。とはいえ、ドラマを演出する舞台装置として「くじ」は重要な役割を果たしている。今年はどんなドラマが待っているだろうか。運命のドラフト会議は26日16時50分から始まる。

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