25日の中日戦で規定投球回に到達
阪神の村上頌樹が25日の中日戦(バンテリンドーム)で先発し、5イニングを投げて規定投球回に到達。最優秀防御率のタイトルを確実にした。
25日は5回2失点で負け投手(10勝6敗)となり、防御率も少し悪化して1.75となったが、それでもリーグ2位のDeNA東克樹は2点台と差は大きい。昨季まで未勝利だった右腕が大ブレイクした3年目にチームの優勝と初タイトルという勲章を手にした。
村上は智弁学園高時代にセンバツ優勝投手となり、東洋大を経て2020年ドラフト5位で入団。1年目の2021年はウエスタン・リーグで勝利数、防御率、勝率で1位、2022年も防御率、勝率、奪三振で1位に輝くなど二軍で着実に力をつけていた。
岡田彰布監督に見出された今季は初先発だった4月12日の巨人戦(東京ドーム)で7回パーフェクトの“衝撃デビュー”。続く4月22日の中日戦ではプロ初完封勝利を挙げ、その後も5月9日のヤクルト戦の7回、サンタナに一発を浴びるまで、セ・リーグタイ記録の開幕から31イニング連続無失点をマークした。
打者の左右を問わず外角低めの被打率1割以下
ストレートは平均145.5キロと驚くほど速いわけではないが、変化球も含めてコントロールが抜群。ストライクゾーンを9分割したゾーン別の被打率は下の通りとなっている。
右打者の30.5%、左打者の25.2%が外角低めに集まっている。しかも被打率は右打者が.036、左打者が.085とほとんど打たれていない。
逆にど真ん中や内角ベルトラインは7%未満を示す青色に染まっており、いかに失投が少なく、正確にコントロールされているかが分かる。最優秀防御率のタイトルはその結晶と言えるだろう。
1点台でタイトル獲得は安仁屋宗八以来48年ぶり
1950年の2リーグ分立以降、阪神で最優秀防御率に輝いた投手は以下の通りとなっている。
1952年 梶岡忠義 1.71
1956年 渡辺省三 1.45
1959年 村山実 1.19
1962年 村山実 1.20
1964年 バッキー 1.89
1967年 権藤正利 1.40
1969年 江夏豊 1.81
1970年 村山実 0.98
1975年 安仁屋宗八 1.91
1983年 福間納 2.62
2003年 井川慶 2.80
2022年 青柳晃洋 2.05
1点台でのタイトル獲得なら1975年の安仁屋宗八以来48年ぶり。それがチームの優勝に大きく寄与したと考えれば、その価値は計り知れない。
高校時代にセンバツで優勝し、大学時代も3年春に投手3冠に輝いてチームを優勝に導くなどアマチュア時代に輝かしい実績を残したわりに、プロ入り後は大卒同期入団の日本ハム伊藤大海(苫小牧駒澤大)、楽天・早川隆久(早稲田大)、ロッテ鈴木昭汰(法政大)、ヤクルト木澤尚文(慶応大)、巨人・平内龍太(亜細亜大)、DeNA入江大生(明治大)らに比べて影が薄かった。
昨季までのプロ通算成績は2試合登板で0勝1敗、防御率16.88だ。しかし、今季突然の大ブレイク。二軍でひとつずつ積み上げてきたことは決して無駄ではなかった。
タイトルを獲ったことでセ・リーグMVP候補にも浮上するだろう。まだ25歳の本格派右腕。阪神の投手王国が崩れることは当面なさそうだ。
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