ストライクゾーンに浮かぶ「T」の字
阪神・佐藤輝明が調子を上げてきた。6月に不振のため二軍落ちしたり、8月にスタメンを外れたり、今季は苦しい状況が続いていたが、9月は早くも3本塁打、9打点、打率.310をマーク。猛虎打線を引っ張ってきた不動の4番・大山悠輔が下降線を辿るのと反比例するような上昇カーブだ。
9月2日のヤクルト戦(神宮)で16号3ランを放つと、翌3日にも2試合連発の17号3ラン。8日の広島戦(甲子園)では10勝を挙げている左腕・床田寛樹から18号ソロと9月無敗の8連勝に大きく貢献している。
ストライクゾーンを9分割したゾーン別打率は下のようになっている。
打率3割以上を示す赤色に染まるのは内角と外角のベルトライン。逆に内外角低めは打率2割未満の青色だ。得意コースと苦手コースが表裏一体なのは分かるとして、偶然にも打率2割台のグレーゾーンがタイガースの「T」の字になっているのはタテジマの申し子かと思えてしまう。
話が逸れたが、いずれにしても低めのボール球に手を出すシーンが少なくないものの、どのコースも万遍なく打てている。セ・リーグ最多四球の同僚・大山悠輔が88四球、昨季まで3年連続四球王のヤクルト村上宗隆が81四球を選んでいることに比べると、52四球の佐藤がさらに選球眼を磨けば三振も減り、より怖い打者になるだろう。
また、打球方向もライトと右中間で50%を占めており、コースに逆らわずレフト方向にも安打を量産できれば打率も上がってくるはず。課題を挙げればキリがないが、何はともあれ、18年ぶりの「アレ」に向けて調子を上げているのは喜ばしい。