源田がWBCで右手小指を骨折
今季から松井稼頭央監督が就任した西武。開幕戦、2戦目と連敗スタートとなったが、3戦目にプロ初先発した平良海馬の7回1失点の好投もあり、見事初勝利を挙げた。
ただ、その船出は開幕前から不運に見舞われた。3月に行われたWBCで、チームの主将であり、正遊撃手の源田壮亮が右手の小指を骨折。球団との話し合いの結果、治療を最優先し、開幕から約1カ月間は、源田不在のまま戦うことになってしまったのだ。
源田は昨オフに異例の5年契約を結んだことからもわかる通り、今のチームには欠かせない大黒柱。打撃では主に2番としてつなぎ役に徹し、守備では球界No.1の堅実かつ華麗な守備で、幾度となくピンチを救ってきた。昨季記録したリーグ最少失点、そしてリーグ1位の防御率は、源田なくしてはあり得なかっただろう。
そんな攻守の要、源田が不在という苦難からのスタートとなった松井ライオンズ。開幕戦では誰が遊撃のポジションにつくのか、注目が集まった中、新指揮官は一軍未出場の高卒3年目、山村崇嘉を抜擢した。
打の山村、守の児玉のポジション争い
東海大相模高から2020年ドラフト3位で入団した山村は、広角に打ち分ける打撃センスを高く評価されている。松井監督にはファーム監督時代に指導を受けており、昨年はファームで60試合に出場し、打率.297をマークしていた。
今年に入ってもキャンプではA班(一軍)スタート、オープン戦では対外試合のチーム第1号本塁打を放つなどアピールを続けた若獅子が、開幕スタメンの座を勝ち取ったのだ。
だが、一軍で結果を残すのは簡単ではない。2戦連続で開幕スタメンを任されたが、計7打席に立ち7打数ノーヒット、4三振。昨季までのチームメイト森友哉がリードするオリックス投手陣に手玉に取られてしまった。
これを受けて、松井監督も早めに手を打った。3戦目にはその山村に代わって、ドラフト6位ルーキーの児玉亮涼をスタメン起用。開幕戦で代走としてデビューを飾り、遊撃の守備にもついた24歳は、この日も軽快な守備でプロ初先発の平良海馬を援護していた。打撃ではヒットこそ出ていないが、犠打をきっちり決めるなど与えられた役割をこなしている。
山村も心配されていた守備は無難な動きを見せており、両者ともに初ヒットが早くほしいところ。打撃面での貢献が定位置確保のカギを握りそうだ。
ファームでアピールする長谷川、滝澤
ただ、遊撃のポジションを狙っているのは、この2人だけではない。ファームでも虎視眈々とチャンスをうかがっている選手たちがいる。
その筆頭が、昨年すい星のごとく現れた滝沢夏央だ。身長164センチの小兵内野手は、昨季源田が離脱した5月に支配下登録されると、攻守にわたり源田の穴をカバーして見せた。ただ、今季はファームで経験を積ませるため二軍スタート。ここまでチーム最多の3試合で遊撃スタメンを任されており、いつ一軍に呼ばれてもいいように準備している。
一方、打撃でアピールしているのが、3年目の長谷川信哉。ここまで9試合中8試合に出場し、打率.303、2本塁打と好調。遊撃だけでなく、外野もこなすなど身体能力が高い若手のホープだ。一軍にいる2人の打撃が振るわなければ、すぐにでもお呼びがかかるだろう。
その他にも、ファームの開幕スタメンを勝ち取った川野涼多や、昨年一軍デビューを果たした中山誠吾もチャンスをうかがっている。
源田の不在はチームにとっては大きな痛手だが、若手選手たちにとってはこれ以上ないアピールのチャンスだ。まだ3試合ではあるが、落ち着いたプレーを見せている山村と児玉、そして、二軍で牙を研いでいる若獅子たちには、このまま源田が帰ってきてもポジションを譲らない活躍を期待したい。
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