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ソフトバンク・藤井皓哉と栗原陵矢、3年ぶりVへのカギ握る2人のコンバート

2023 2/8 11:00SPAIA編集部
(左から)ソフトバンクの藤井皓哉と栗原陵矢
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ⒸSPAIA

苦労人・藤井皓哉が先発転向

エースの千賀滉大がメジャーへ移籍し、先発陣の再編に迫られる2023シーズンのソフトバンク。阪神から助っ人のガンケルが加わり、かつての守護神・森唯斗が先発へ転向するなど、春季キャンプから熾烈な先発ローテーション争いが勃発している。

その中で虎視眈々と爪を研いでいるのが今季から先発に転向する藤井皓哉だ。20年限りで広島から戦力外通告を受け、独立リーグの四国IL・高知で研鑽を積んで21年オフにソフトバンクと育成契約。22年の開幕直前に支配下を勝ち取ると、55試合に登板して5勝1敗22ホールド3セーブ、防御率1.12と抜群の成績を残した。

セットアッパーを任されるなど抜群の安定感を誇った中継ぎ右腕が、今季は先発に転向する。リリーフと先発両方で成功を収めるのは容易なことではないが、過去に球団では攝津正や千賀など、リリーフで好成績を残した投手が先発転向に成功した例は多い。藤井の挑戦にもいやが応でも期待が高まる。

ただ、先発へ転向するにあたり、ピッチングスタイルの変更は不可欠。藤井は昨季150キロ超のストレートに、落差の大きなフォークとスライダーの3球種のみで勝負していたが、自主トレから「先発をやる上で必要」と昨季は投じていなかったカーブの習得に励んでいる。春季キャンプでも重点的に投球するなど、さらなるレベルアップに余念はない。

昨年6月には広島を戦力外となった20年から交際し、「苦しい時期をともに過ごしてきた」パートナーとも結婚した。「170イニングを投げること」を目標に掲げた苦労人右腕が、今季も二人三脚で先発陣の柱へと駆け上がる。

昨季の雪辱を期す栗原陵矢

野手にも今季新たなチャレンジに臨む選手がいる。サードに本格転向する副キャプテンの栗原陵矢だ。

2021年は全143試合に出場して、キャリアハイとなる打率.275、21本塁打、77打点をマーク。東京五輪の代表にも選出され、金メダルを獲得するなど充実の1年を過ごした。

しかし、さらなる飛躍が期待された昨年は悔しいシーズンとなった。開幕から5番・レフトで出場するも、5試合目で左ひざの前十字じん帯を断裂。「チームに何も貢献できなかった」と本人も語っていたように、そのまま一軍に復帰することなくシーズンを終えた。

忸怩たる思いを抱えたままオフに突入した栗原は、昨秋のキャンプで新たな挑戦を決意した。昨季限りでソフトバンクを退団し、巨人に入団した松田宣浩が長く守ってきたサードへの挑戦だ。「絶対的な選手だった松田さんが抜けたのはチームにとって大きい。松田さんのように常に元気で、チームを励ませる選手を目指したい」と“熱男”の後継者に名乗りを上げた。

ただ、絶対的レギュラーがいなくなったとはいえ、選手層の厚いソフトバンクでポジションを確保するのは容易ではない。実際、サードの後継候補は侍ジャパンに選出された周東佑京、球団新人記録の10本塁打を放った野村勇、新外国人のアストゥディーヨら群雄割拠だ。新たなポジションで出直しを図る。言うのは簡単だが、並大抵の努力では実現しないだろう。

だが、今季の巻き返しへかける思いは誰よりも強い。「借りを返したい」。不退転の覚悟で臨む今シーズン、捕手として入団した9年目の若鷹が新たな居場所で勝負をかける。

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