広島から唯一WBC選出、大台まで「あと32」
第5回ワールドベースボールクラシックの日本代表に広島から唯一選出されたのが栗林良吏投手(26)だ。
愛知黎明高、名城大、トヨタ自動車を経て2020年ドラフト1位で入団して3年目。ルーキーイヤーは53試合に登板して1敗37セーブ、防御率0.86で新人王に輝き、2年目の昨季も48試合登板で2敗31セーブ6ホールド、防御率1.49の好成績を残した。
わずか2シーズンで101試合に登板し、3敗68セーブ6ホールド、防御率1.16をマーク。今や球界を代表するクローザーの一人として君臨しており、WBCでも最後を締めくくる重要な役割を担う可能性もある。
侍ジャパンでももちろんだが、何より3連覇以降4年連続Bクラスに低迷する広島が巻き返すためには、栗林が1年を通して不動の守護神として活躍することが必須条件。そして、それを果たす頃にはNPB記録更新も見えてくる。
史上最速100セーブはギャラード(中日)の148試合。栗林は46試合以内に32セーブを挙げれば、最速記録を塗り替えることになるのだ。歴代100セーブのスピード記録ランキングは下表の通り。
スピード記録4位まで外国人守護神
ギャラード以下もペドラザ(ダイエー)、クルーン(巨人)、林昌勇(ヤクルト)と4位まで外国人が占めている。
クローザーは経験と実績、首脳陣の絶大な信頼が必要なため、日本人投手が固定されるには時間がかかるのだ。1年目から守護神として起用されている栗林は稀有な存在と言える。
5位以下も馬原孝浩(ソフトバンク)、山﨑康晃(DeNA)、MICHEAL(日本ハム)、小林雅英(ロッテ)、大塚晶文(近鉄)、山口俊(DeNA)とそうそうたる名前が並ぶ。彼らを一気に飛び越えて日本最速記録となれば、球史に残る偉業と言っても過言ではない。
大卒社会人出身のため松井裕樹(楽天)の最年少記録、22歳10カ月には及ばないが、7月で27歳になる栗林は、広島の大先輩でもある永川勝浩の27歳6カ月を上回り、歴代8位の年少記録となる可能性も十分にある。
懸念はWBCの疲れ
身長178センチと高くはないものの、オーバースローから投げ込むストレートは平均148.9キロ。さらに同138.6キロのフォークは被打率.120、空振率34.7%と最大の武器になっている。
カーブとカットボールも適度に織り交ぜるが、全体の76.9%を占める2球種、切れ味抜群のストレートと落差の大きいフォークが生命線だ。
懸念されるのは、WBCの疲労だろう。リリーフ陣は登板するか否かに関わらず、試合展開によってブルペンで準備する必要があるため目に見えない疲労が蓄積しやすい。
開幕前に状態をピークにもっていくと、どうしても下がる時期が訪れる。今まで経験したことのないパターンで突入するシーズンをどう乗り切るか未知数な部分が多いだろう。
とはいえ、広島にとって栗林は替えが効かない存在だ。オフの契約更改では、わずか2年で推定年俸9500万円まで上がった。2023年は最速で100セーブの大台に乗せて1億円の大台を突破したい。
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