歴代1位は300勝投手の鈴木啓示
2022年のプロ野球はオリックスがヤクルトとの日本シリーズを制し、26年ぶりの頂点に立った。そして、2004年の球団統合で近鉄から引き継いだ「バファローズ」としては、初の日本一となった。
一方で、2004年に球団が消滅してしまった近鉄だが、その歴史を振り返ると、数々の大投手を輩出してきていた。今回は近鉄の歴代投手たちの通算勝利数ランキングを紹介する。

歴代1位は「最後の300勝投手」鈴木啓示の317勝だ。育英高から1965年ドラフト2で入団した左腕は、1年目に10勝、2年目には早くも21勝を挙げ、エース格に。ここから71年まで5年連続で20勝以上をマークし、69年には最多勝を獲得。68年、71年にはノーヒットノーランも達成した。
その後も、77年に20勝、78年に25勝で2年連続最多勝に輝くなど、1年目から15年連続で2桁勝利を記録。85年限りで現役を引退するまで近鉄一筋で20年間プレーし、317勝238敗、貯金79とずば抜けた成績を残した。93年から95年まで球団の監督を務め、2002年には野球殿堂入りしている。
2位は113勝で佐々木宏一郎。1962年オフに大洋(現DeNA)を戦力外となり、近鉄に加入すると、64年にはリーグ最多の73試合に登板して10勝をマークした。67年からは6年連続2桁勝利を記録。自己最多の17勝を挙げた70年の10月6日・南海戦では史上11人目の完全試合も達成した。75年シーズン途中に南海へ移籍。81年限りで現役を引退した。
完全試合投手・武智文雄が100勝で3位
3位は100勝で武智文雄だ。球団初年度の1950年に入団したアンダースロー右腕は切れのいいシュートを武器に、エースとして弱小チームを支えた。54年には26勝を挙げ、最多勝のタイトルを獲得。55年6月19日の大映(現ロッテ)戦では、史上2人目の完全試合を達成した。62年限りで現役を引退し、その後は球団の二軍投手コーチも務めた。
4位は柳田豊で94勝。西本幸雄監督時代に先発、リリーフと大車輪の活躍を見せたサイドハンド右腕は、75年に太平洋(現西武)からトレードで加入。78年に初の2桁となる13勝、球団初優勝となった79年にも11勝を挙げた。80年には先発23試合、救援23試合に登板して、自己最多タイの13勝に7セーブもマークし、リーグ連覇に貢献した。
5位は85勝で清俊彦と村田辰美が並んでいる。清は1968年に西鉄(現西武)からトレードで移籍し、69年に18勝を挙げて最高勝率のタイトルを獲得。72年には自己最多の19勝をマークするなど4年連続2桁勝利を記録した。しかし、その後は徐々に出番が減少し、76年に阪神へ移籍し、同年限りで現役を引退した。
村田は1980年代の近鉄を支え続けた左の変則サイドスロー投手だ。79年に初の2桁12勝を挙げ、82~83年にかけては悪夢の11連敗も86年には自己最多の14勝をマーク。開幕投手も2度務めた。89年オフに大洋へ移籍し、90年限りで現役を引退した。
7位は83勝で高村祐。宇都宮南高から法大を経て1991年ドラフト1位で入団した右腕は、1年目から13勝をマークし、新人王に輝いた。しかし2年目以降は、チームの低迷もあり2桁勝利を挙げることはできず、2004年オフに球団消滅に伴う分配ドラフトで楽天へ移籍。05年オフに戦力外となった。07年から楽天、ソフトバンクで投手コーチを歴任している。
阿波野と野茂はトップ10入りならず
8位は神部年男と山崎慎太郎で80勝。神部は高砂高から三菱製紙、富士製鐵広畑を経て1969年ドラフト2位で入団。1年目から先発の一角を担い8勝を挙げると、75年までの6年間で4度の2桁勝利をマーク。75年にはノーヒットノーランも達成した。78年オフにヤクルトへトレード移籍し、82年限りで現役を引退している。
山崎は新宮高から1984年ドラフト3位で入団すると、88年に初の2桁となる13勝を挙げてブレイク。89年には9勝を記録してリーグ優勝に貢献し、94年から2年連続で2桁勝利をマークした。98年にFAでダイエーへ移籍。その後、広島、オリックスと渡り歩き、2002年限りで現役を引退した。
10位は板東里視の79勝。2桁勝利は2度のみながら、先発、リリーフを問わず通算579試合に登板し、チームに貢献した。近鉄一筋で20年プレーし、79年に初のリーグ優勝を見届けて引退。その後は球団のスカウト、投手コーチ、二軍監督を歴任した。
トップ10の顔ぶれは以上の通りとなった。近鉄の歴代エースの中では、阿波野秀幸、野茂英雄の名前がなかったが、阿波野は近鉄で67勝(14位)、野茂は78勝(11位)。阿波野は在籍8年で巨人へトレード移籍、野茂は5年目のオフに退団、渡米したため、ランクインとはならなかった。
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