初の開幕投手に意欲
阪神・青柳晃洋投手(29)が開幕投手に意欲を示した。2022年は開幕マウンドを任されることが決まっていたものの直前に新型コロナに感染したため回避。大役を藤浪晋太郎に譲り、自身は4月15日の巨人戦から一軍に復帰した。
その後は出遅れを取り戻すように快投を続け、2年連続13勝で最多勝、勝率.765で最高勝率、防御率2.05で最優秀防御率のタイトルを獲得し、投手3冠に輝いた。
オフの契約更改では倍増となる推定年俸2億4000万円でサイン。球団生え抜きの先発投手としては2006年の井川慶(2億3000万円)を超え、歴代最高額となった。
プロ入り以来7年間背負ってきた背番号50から「17」に変更。名実ともに阪神投手陣の大黒柱として臨む2023年シーズンは、初の開幕投手としてスタートダッシュを決めたいだろう。
打者の左右問わず外角低めにコントロール
改めて2022年の投球内容を振り返ると完璧な制球力が浮き彫りになってくる。ストライクゾーンを9分割した投球データは以下の通りとなっている。

投球割合の15%以上を示す赤色は、打者の左右を問わず、外角低めと外角ベルトラインのみ。逆に7%未満の青色はど真ん中と高めに集中している。いかに高めへの失投が少なく、外角へ丁寧に投げられているか分かるだろう。
しかも右打者の外角低めは被打率.163、21奪三振。左打者の外角低めは被打率.186、21奪三振とほぼ左右対称だ。上手投げの右投手の場合、左に曲がる変化球と違い、右に曲がるシュート系をコントロールするのは難しいが、球界屈指のサイドスローの青柳にそれは当てはまらない。
実際、左に曲がるスライダーは被打率.132、カットボールは同.227をマークしており、右に曲がるシンカーは被打率.182、シュートは同.244と、どちらに曲がる変化球も遜色のない数字なのだ。
左右どちらの打者に対しても自信のある決め球を持っているのは最大の強み。いかに正確なコントロールで左右に揺さぶり、バットの芯を外しているかが証明されている。それこそが青柳の真骨頂だろう。
課題はシーズン通してパフォーマンスを維持するスタミナ
敢えて課題を挙げるとすれば、シーズン終盤のスタミナだろうか。2021年は8月24日、2022年は7月15日に10勝目を挙げたにもかかわらず、後半戦の勝負どころで白星が伸びなかった。
2年連続13勝は立派だが、さらに15勝以上まで伸ばすためには1年間を通してパフォーマンスを維持することが重要。優勝争いをしていればなおさらだ。
シーズン終盤での失速が肉体的な要因なのか、精神的な要因なのか、あるいは両方なのか定かではない。いずれにせよ、岡田彰布監督が就任して2005年以来18年ぶりの「アレ」を狙う今季は、フルシーズンにわたる活躍が期待される。
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