隅田知一郎と佐藤隼輔が先発の穴埋める活躍
2022年のプロ野球界は、ロッテの松川虎生が高卒捕手として史上3人目の開幕マスクをかぶり、巨人の大勢が新人最多タイの37セーブを挙げるなど、ルーキーの活躍が目立つ1年となった。
そこで球団ごとに一軍で活躍したルーキーの通信簿を作成してみた。投手は「球威」「制球力」「奪三振」「総合」、野手は「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」のそれぞれ4項目を5段階で評価している。
今回は昨年の最下位にから巻き返し、Aクラスの3位に入った西武を見ていこう。
まずは投手。西武ではドラフト1位の隅田知一郎(西日本工業大)と2位の佐藤隼輔(筑波大)の両左腕が一軍の戦力となった。
隅田は開幕2戦目の先発を任されると、7回1安打無失点でプロ初登板初先発初勝利を飾った。だが、以降は1勝も挙げることができず、パ・リーグ新人初の10連敗。8月には中継ぎも経験した。ただ、防御率は3.75とルーキーとしては及第点の数字を残している。
一方の佐藤も3月29日の日本ハム戦でプロ初登板初先発初勝利。5月までに3勝を挙げる活躍を見せた。だが、その後は調子を落として二軍落ち。9月に再昇格後は中継ぎとして登板を重ね、最終的には12試合に登板して3勝4敗、防御率4.60の成績を残した。
投手の各項目は球威がリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。
隅田は直球の平均球速が145.1キロと先発左腕としては速く、球威の評価は「4」。BB%は8.4、K%は20.4といずれも一軍平均レベルで評価は「3」、FIPも2.70と優秀で総合評価は「4」となった。見た目の成績ほど投球内容は悪くなかったようだ。
成績が振るわなかった1つの要因として、打線の援護が少なかったことが挙げられる。援護率は1.98と9イニングで援護点が2点に満たず、ルーキーにとっては酷な状況だった。年間通してパフォーマンスを維持できなかった面はあるが、十分一軍レベルで通用するだけの投球は見せていた。来季は体力面での課題を解消できれば、自ずと結果も付いてくるだろう。
佐藤は平均球速145.0キロと隅田と同程度だったが、BB%は10.6、K%は16.1といずれも平均を下回り評価は「2」。FIPは3.25で総合評価は「3」となった。来季は投球の精度を上げ、年間を通して一軍で活躍したいところだ。
その他、4位の羽田慎之介(八王子高)は二軍で5試合に登板して防御率7.04、5位の黒田将矢(八戸工大一高)も二軍で10試合に登板して1勝3敗、防御率8.20の成績を残している。