リリーフ陣は盤石も、先発は即戦力補強必須
今季は藤本博史新監督の下、2位に入ったソフトバンク。レギュラーシーズン最終戦までもつれたオリックスとの壮絶な優勝争いに敗れはしたものの、昨季8年ぶりのBクラスに終わったチームを見事に立て直してみせた。
来季3年ぶりのリーグ優勝を目指す上で10月20日に開催されるドラフト会議は、戦力強化において最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含めソフトバンクのドラフト補強ポイントを考えていく。
投手陣は今季もチーム防御率は3.07でリーグ3位と安定していた。先発投手では、エース千賀滉大に、ノーヒットノーランを達成した東浜巨、石川柊太、C.レイが中核を担った。さらに、育成出身の大関友久、4年目の板東湧梧が結果を残し、ベテラン和田毅も控えるなどコマは揃っている。
ただ、主力は30代に固まりつつあり、千賀が今年9月に海外FA(フリーエージェント)権を取得し、今オフにもメジャーに挑戦する可能性がある。即戦力となる先発投手は必須だろう。
リリーフ陣は、守護神のモイネロを筆頭に、嘉弥真新也、藤井皓哉、津森宥紀、松本裕樹が20ホールドポイント以上を挙げた。他にも、今季FAで加入した又吉克樹、泉圭輔、甲斐野央らもおり、質量ともに十分。特に、補強する必要性は感じない。
内外野とも高齢化への対処必要
捕手は正捕手の甲斐拓也が130試合に出場も打率は1割台。守備型の海野隆司、打撃型の渡邉陸などもマスクをかぶったが、甲斐を脅かすまでには至っていない。攻守揃った正捕手候補の獲得を検討したいところだ。
内野は長年三塁のレギュラーを務めた松田宣浩が退団。一塁は中村晃がメインとなるため、三塁には30本塁打以上を狙える強打者を置きたいところだ。リチャードや昨年のドラフト1位・井上朋也らの成長に期待しつつ、長距離砲候補がいれば指名しておきたい。
二遊間はどうだろうか。二塁は今季、三森大貴が頭角を現し88試合に出場、牧原大成や周東佑京も守れるだけに即戦力は必要ない。遊撃には不動のレギュラー今宮健太がいるが、今年で31歳。そろそろ後継者を探す必要があるだろう。上位での指名も検討したい。
外野手は高齢化が進んでいる。両翼の今季最多出場は37歳のグラシアルと34歳の柳田悠岐。また、センターはユーティリティプレーヤーの牧原大成がスタメンで最多の47試合に出場していた。彼らを脅かす若手の育成が必要だろう。
今季ケガで棒に振った栗原陵矢が来季復帰でき、昨年のドラフト2位の正木智也、今季107試合に出場した柳町達とレギュラー候補はいるので、将来性の高い高校生を指名しておきたい。
今年もスケールの大きな高校生を1位指名
以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。
1.強打の内野手
1位指名を公言したイヒネ・イツア(誉高)は、今宮の後継遊撃手として正に打ってつけの選手だ。全身バネの身のこなしは見るものを魅了すること間違いなし。守備力向上のために覚えることは多いだろうが、強打のショートとして球界を代表する選手となる可能性を秘めている。
2.即戦力の先発候補
大学生・社会人の先発候補を2位で確保しておきたい。試合終盤でも球威の衰えない益田武尚(東京ガス)や多彩な変化球を操る金村尚真(富士大)らが候補となる。もし、荘司康誠(立教大)や吉村貢司郎(東芝)ら1位候補がまだ残っていたら、積極的に指名したい。
3.将来有望な中堅手
身体能力の高い高校生外野手を指名したい。その筆頭候補となるのが佐伯鶴城の古川雄大。身長186センチの大型外野手で高校通算21本塁打のパンチ力を誇る。技術面に課題は残るが、スケールの大きさは今年の高校生でNo.1だ。同タイプの大阪桐蔭・海老根優大も候補となるだろう。
来季からは4軍制も動き始める予定であることを発表した。昨年は育成で14人の大量指名を行ったが、今年も同程度の人数の指名を予定している。今年も最後までドラフト候補たちに吉報を届け続けるソフトバンクの指名から目が離せない。
※表の年齢は2022年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月7日時点)
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