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2022年楽天のドラフト補強ポイント 左腕不足解消と炭谷銀仁朗の後継捕手探し

2022 10/9 11:00SPAIA編集部
楽天の石井一久監督,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

則本、田中、岸、早川、涌井で計36勝の先発陣

2022年の楽天は11連勝するなど首位を走っていた時期もあったが、終わってみれば69勝71敗3分けで勝率5割を割り込んで4位。石井一久監督就任3年目となる来季は勝負のシーズンだろう。

10月20日に開催されるドラフト会議では、チーム再建へ向けての戦力強化において最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含め楽天のドラフト補強ポイントを考えていく。

楽天の先発投手,ⒸSPAIA


まずは先発投手。楽天を今季の優勝候補に挙げる声があったのも、岸孝之、涌井秀章、田中将大、則本昂大、早川隆久という豪華先発陣がいたからだ。則本10勝、田中9勝、岸8勝、早川5勝、涌井4勝で計36勝と一定の成績は残したが、過去の実績から考えると、やはり物足りない。今季のチーム防御率はリーグワーストだった。

移籍などがない限り、来季も先発ローテーションを担うと見られるが、右投げの4人は12月で38歳になる岸を筆頭に高齢化している。6勝を挙げた左腕・辛島航も30代だけに将来を見据えた若返りを図る必要はあるだろう。特に手薄な左腕は是が非でも欲しいポイントだ。

楽天のリリーフ投手,ⒸSPAIA


続いてリリーフ陣。クローザーは松井裕樹が32セーブでタイトルを獲得した。来季も不動の守護神だ。

中継ぎでは西口直人が30ホールド、宋家豪が20ホールド、安樂智大が13ホールドをマーク。ただ、3人とも右腕で、左腕は鈴木翔天が38試合登板で7ホールドを挙げたものの枚数が足りていない。先発も中継ぎも左腕不足解消はカギと言えそうだ。

捕手は長年の懸案、安田悠馬は5試合どまり

楽天の捕手,ⒸSPAIA


捕手はかねてからの懸案事項。2021年ドラフト2位でスラッガーの安田悠馬を獲得したが、1年目は5試合出場にとどまった。

結局は昨季途中に加入した35歳の炭谷銀仁朗が、捕手では最多の98試合に出場。次代を担う若手が育っていない。ドラフトに限らず、FAやトレードも含めて捕手の獲得は急務だろう。

楽天の内野手,ⒸSPAIA


内野手は浅村栄斗が27本塁打、86打点の好成績。鈴木大地は打率.257とやや成績を落としたが、小深田大翔は打率.267で盗塁数は自己最多の21個を記録した。

左右のバランスは取れているものの、FA移籍の浅村と鈴木は30代のため、下から突き上げる若手が欲しいところ。投手陣に比べて野手陣はやや地味なイメージもあり、杜の都を熱くする強打のスター候補が欲しい。

楽天の外野手,ⒸSPAIA


外野手は2021年ドラフト1位の吉野創士、同3位の前田銀治とスラッガー候補を獲得したが、まだ時間がかかる。来季も基本的には西川遥輝、岡島豪郎、島内宏明、辰己涼介や助っ人外国人らを併用する形になるだろう。逸材がいれば別だが、緊急補強の必要性はなさそうだ。

スラッガー候補もポイント

以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。

1.即戦力左腕
先発で1年間ローテーションを任せられる左腕がもう一人いればベテランの負担は軽くなる。今年は即戦力を見込める左腕候補が少ないが、最有力候補となるのは白鴎大の曽谷龍平だ。球威あるストレートとスライダーのキレは抜群。ただ、球種の少なさは先発をやる上では不安要素だろう。左腕にこだわらなければ、吉村貢司郎(東芝)、吉野光樹(トヨタ自動車)ら社会人投手も候補となる。

2.炭谷銀仁朗の後継捕手
安田悠馬をどう育成するかにもよるが、打力を活かすなら野手転向という手もある。炭谷の後継者としては打力より、インサイドワークに優れた、長く活躍できる捕手が理想だ。即戦力なら名城大の野口泰司が有力候補。統率力があり、全国舞台の経験も豊富な大学No.1捕手だ。高校生捕手なら松尾汐恩(大阪桐蔭高)を指名したいが、1位が有力視されている。即戦力投手とどちらを優先するか悩みどころだ。

3.内野のスター候補
昨年のドラフトでもスラッガー候補を多く指名したが、今年も光るセンスの持ち主が欲しいことには変わりない。チームの顔となれる選手となれば、いの一番に名前があがるのが立教大の山田健太。大阪桐蔭高では春夏連覇、大学代表で主将を務めるなど、アマチュア球界のエリート街道を歩んできた。プロでも内野手を務められるのかという不安要素はあるものの、世代を代表する選手であることは間違いない。

楽天は春の訪れが遅い東北地方の屋外球場をホームとするため、春先の調整が難しい。今春もオープン戦7試合を静岡の草薙球場で開催した。開幕ダッシュを成功させるには、やはり投手力が重要だろう。今秋のドラフトで弱点を補うことができるかどうかは大きなカギを握っている。

※表の年齢は2022年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月7日時点)

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