「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

阪神引っ張る中野拓夢・島田海吏・近本光司があの「スーパーカートリオ」を上回る理由

2022 8/9 06:00SPAIA編集部
阪神の中野拓夢・島田海吏・近本光司,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

チーム79盗塁のうち3人で53盗塁

開幕9連敗を喫し、最大16あった借金を完済して首位ヤクルトを追いかける阪神。エース青柳晃洋や中軸の佐藤輝明、大山悠輔の活躍に目が行きがちだが、忘れてはならないのが1~3番の「超速トリオ」だ。

開幕当初は近本光司が1番で起用されていたが、上武大から入団5年目の島田海吏が台頭。昨季盗塁王に輝いた2年目の中野拓夢が調子を上げてきたことで、6月下旬から1番・中野、2番、島田、3番・近本で固定されている。

阪神のチーム盗塁数はリーグトップの79。2位ヤクルトの56に23個差をつけており、リーグ最少の広島(20盗塁)とは59個差だから、長いシーズンで考えればチーム順位への影響も小さくないだろう。

現在、近本が22盗塁でヤクルト・塩見泰隆と並んでトップタイ。中野が17盗塁で3位、島田が14盗塁で5位につけている。3人合計で53盗塁だからチーム総数の3分の2を3人で記録している計算だ。

矢野燿大監督は就任当初から積極走塁を掲げており、ラストイヤーにして目指す野球が具現化できていると言えるかも知れない。

148盗塁の「スーパーカートリオ」より成功率では上

1~3番に俊足選手を並べた代表的な例が、DeNAの前身、横浜大洋の「スーパーカートリオ」だろう。高木豊、屋鋪要、加藤博一と球界全体でも屈指の俊足選手を並べ、1985年には高木42盗塁、屋敷58盗塁、加藤48盗塁で3人合計148盗塁をマークした。さすがに当時の「スーパーカートリオ」に比べると、今の阪神3選手は「国産クーペ」くらいかも知れない。

ただ、「スーパーカートリオ」は果敢に走ったため盗塁失敗も多かった。1985年の盗塁成功率は高木が67.7%、屋敷が81.7%、加藤が72.7%で、3人合計74.4%。対して今季の阪神は中野が77.3%、島田が93.3%、近本が81.5%で3人合計82.8%と「スーパーカートリオ」を上回っているのだ。

当然ながら盗塁はチャンスを拡大する可能性がある一方、失敗するとアウトカウントが増えるだけでなく一気に流れを悪くする。「スーパーカートリオ」は成功数だけで見ると球史に残る俊足トリオだったが、成功率で見ると、やや燃費が悪かったと言えるだろう。

そう考えると、阪神の「超速トリオ」は燃費もいい、まさに令和のハイブリッドカー、いや電気自動車と言っても過言ではない。

阪神は2019年から昨年まで3年連続で盗塁数リーグトップ。2018年、19年に近本、20年に中野が盗塁王に輝いたことが大きく寄与していたが、今季はさらに島田が加わった。奇跡の大逆転優勝に向け「超速トリオ」が頂点まで駆け抜けるか、ラストスパートに注目だ。

※成績は8月8日現在

【関連記事】
12球団の捕手事情、西武・森友哉がFA宣言したら手を挙げそうな球団は?
阪神の歴代監督と最高成績、次期監督候補は?
阪神ベンチに北條史也が欠かせない理由、誰からも愛されるムードメーカー