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交流戦で二冠王の阪神・大山悠輔、好調を持続させるための課題とは?

2022 6/16 06:00SPAIA編集部
阪神・大山悠輔,ⒸSPAIA
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交流戦7本塁打、21打点で二冠王

17日からプロ野球のリーグ戦が再開される。交流戦で優勝したヤクルトとともに上昇したのが阪神だ。最後はオリックスに3連勝して12勝6敗で2位。セ・リーグでも4位に浮上した。

ヤクルトとの開幕戦、4回終了時点で8-1と一方的な展開でリードしていたにもかかわらず、新守護神カイル・ケラーが炎上してまさかの逆転負け。尾を引く敗戦で開幕から9連敗を喫し、長らく最下位から脱出できなかったが、ようやく借金も6にまで減った。3位・広島とも2ゲーム差に迫っており、Aクラスをうかがう位置にいる。

屋台骨を支えるのは投手陣だ。チーム防御率2.65はリーグ1位。5月20日の巨人戦に2-6(延長12回)で敗れるまで21試合連続3失点以下を記録するなど、常に接戦に持ち込んできた。中でも青柳晃洋は7勝1敗、防御率0.89と文句のない成績を残している。

見殺しにされることも多かった投手陣の踏ん張りに結果がついてくるようになったのは、打線が上昇してきたからだ。特に大山悠輔は交流戦18試合で打率.318、7本塁打、21打点で本塁打と打点の二冠王に輝き、日本生命賞を受賞する大活躍。リーグ最下位のチーム打率.232と得点力不足にあえぐ打線の中で、一際存在感を示した。

極端に多いレフト方向への打球

大山は白鴎大からドラフト1位で入団して6年目。2020年にキャリアハイの28本塁打、85打点をマークするなどパンチ力には定評があり、プロ通算100本塁打にもあと5本まで迫っている。

特にツボにハマった時の飛距離は凄まじい。軸足で回転し、バットにボールを乗せて運ぶ放物線は、まさにホームランアーチストのそれだ。6月3日の日本ハム戦では1四球を挟んで10号、11号、12号と3打数連発。波に乗ると固め打ちする傾向がある。

ただ、長期間安定しないのが30本塁打に届きそうで届かない一因だろう。打率.251はリーグ21位で、チームメイトの佐藤輝明(.275)よりも低い。ストライクゾーンを9分割したコース別打率は下の通りとなっている。

阪神・大山悠輔のゾーン別データ


打率3割以上を示す赤色は3コース。特に真ん中低めは23打数10安打で打率.435、5本塁打と最も得意にしている。確かにすくい上げるようなアッパースイングで左翼席に放り込む本塁打が多い。

一方、打率2割未満を示す青色も3コース。内角低めは打率.125、内角高めは.158、外角低めは.180と際どいコースに対応できていない。

要因のひとつとして、レフト方向へ引っ張りすぎるきらいがある。打球方向データでは左翼方向が最も多い34%。続いて左中間の21%、中堅方向の18%となっており、右中間と右翼方向はいずれも14%にすぎない。本塁打は全てセンターから左方向だ。

例えば同じ右のスラッガー、巨人の岡本和真は、左翼と左中間方向がいずれも24%、中堅が20%、右中間18%、右翼14%となっており、本塁打も広角に打ち分けている。

大山が確実性を上げるためには、右への打球を増やす意識が必要ではないか。甲子園はライトからレフトへ吹く浜風が強いため左翼方向への打球が伸びるとはいえ、今のままでは壁を突き破れないかも知れない。もうワンランク上の打者としてチームをさらに浮上させるためには、解決すべき課題だろう。

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