プロ入り後甲子園初登板も大山悠輔に被弾
日本ハムの吉田輝星が5日の阪神戦に先発し、大山悠輔に13号3ランを浴びるなど3回4失点で負け投手となった。金足農高時代の2018年夏の甲子園で準優勝した時のエースは、プロ入り後の公式戦では甲子園初登板。4年ぶりの聖地のマウンドで成長した姿をファンを披露したかったが、満員の虎党の前でほろ苦い登板となった。
新型コロナの感染拡大で大会中止や無観客、応援自粛など、高校野球も大いに影響を受けたため記憶が薄れつつあるが、第100回だった2018年の夏は過去の大会と比べて最も盛り上がった大会のひとつだろう。
同年春のセンバツで優勝した大阪桐蔭は「最強世代」と呼ばれた根尾昂(現中日)や藤原恭大(現ロッテ)を擁して史上初となる2度目の春夏連覇を狙っていた。
順調に勝ち上がる優勝候補の大本命を横目に、ひたすら腕を振り続けたのが金足農の本格派右腕・吉田輝星。初戦から一人で投げ抜き、鹿児島実、大垣日大、横浜、近江、日大三と強豪を次々に破って同校初の決勝に進出した。
太陽の眩しい光が降り注いだ決勝は、合計881球を投げたエースがついに力尽き、2-13で大敗。それでも死力を尽くした「金農」への賛辞はやまず、優勝した大阪桐蔭以上に脚光を浴びた。
同年秋のドラフト。吉田は根尾の外れ1位で日本ハム入り。4球団競合した根尾は中日が引き当て、3球団競合の藤原はロッテに入団した。
今季は中継ぎで出番増えた吉田輝星
あれから4年。当時の熱狂ぶりから考えると、ドラフト1位組のプロ生活は決して順風満帆とは言えない。吉田は1年目の2019年6月12日の広島戦でプロ初先発初勝利を挙げたものの、その後は一軍での登板機会も増えず、白星をつかむことはできなかった。
昨季は二軍で6勝を挙げるなど地道に経験を積み、今季は新庄剛志ビッグボスに中継ぎとしての可能性を見出された。5月18日のオリックス戦では2番手で登板して今季初勝利。この日の先発前の時点で、20試合に登板して防御率3.33と結果を残していた。
今後、先発ローテーションで投げるのか、再び中継ぎに戻るのか分からないが、いずれにしてもこの日の悔しさを飛躍のきっかけにしてほしいものだ。
根尾昂は「二刀流」として大成するか
根尾もプロ入り後は伸び悩んでいる。1年目は一軍で2試合、2年目も9試合の出場にとどまり、昨季は72試合に出場したものの打率.178。高校試合に放った輝きは徐々に失われているようにも見えた。
ただ、自身と同じく、甲子園で春夏連覇した高卒ドラ1のショート、立浪和義監督が就任した今季は出番が増えつつある。打撃成績はまだまだだが、大量得点差の場面で投手として登板するなど「二刀流」として起用されており、根尾の「商品価値」は決して落ちていない。
吉田がこの日登板したことを考えると、6月10日から予定される日本ハム-中日3連戦(札幌ドーム)で吉田と根尾が対決する可能性もある。実現すれば、今年の交流戦の見どころのひとつとなりそうだ。
実績では一番の藤原恭大
3人の中でプロで最も実績を残しているのは藤原恭大だろう。1年目から開幕スタメンで起用され、昨季は78試合に出場して打率.217、5本塁打、7盗塁の成績を残した。
今季は26試合に出場しているが、5月27日に登録抹消。現在は二軍戦に出場しており、一軍復帰が待たれる。
豊作だった2018年ドラフトでは、4球団競合した報徳学園の小園海斗(現広島)や天理の太田椋(現オリックス)らの高卒ドラ1も活躍している。今秋ドラフトでは大学に進んだ同級生たちもプロの門を叩くだろう。甲子園を沸かせたスター候補たちのさらなる成長が楽しみだ。
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