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オリックス次期ブレイク候補は野口智哉と池田陵真、主力離脱でチャンス到来?

2022 5/13 06:00大島大介
オリックスの野口智哉と池田陵真,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

杉本裕太郎、福田周平に続き、吉田正尚が新型コロナ感染で抹消

リーグ連覇を目指すオリックスは今、大きな試練に見舞われている。昨季、投手主要部門のタイトルを総なめにし、沢村賞にも輝いた絶対的エース山本由伸が再調整のため出場選手登録を抹消されたのに続き、9日には2年連続首位打者の吉田正尚が新型コロナウイルスに感染してチームからの離脱を余儀なくされた。

レギュラーの杉本裕太郎や福田周平は、コロナの後遺症から復帰が遅れている。ただ、「ピンチはチャンス」とばかりに、ギラギラと目を輝かせて必死にアピールする選手たちの存在は頼もしい。

オリックスは10日の日本ハム戦に4―2で勝利し、連敗を7で止めた。吉田正尚の代替指名選手として一軍に昇格し、2020年以来となる今季1号ソロを放った大城滉二とともに、勝利に大きく貢献したのは「1番センター」で先発した新人・野口智哉(関西大)のバットだった。

この試合、オリックスは先発の山岡泰輔が8回2失点と好投し、3―2と1点をリードして九回の攻撃を迎えた。先頭の後藤駿太は三振に倒れたが、続く伏見寅威の内野ゴロを遊撃手がミス。処理をもたつく間に、伏見寅威は一気に二塁を陥れた。

ここで打席には五回に中前打を放っている野口智哉。力強い踏み込みから、5番手の右腕、玉井大翔の外角球をとらえると、ラインドライブの効いた痛烈な打球は左翼線を破る適時二塁打となり、大きな追加点をチームにもたらした。

ドラフト2位のヒットメーカー野口智哉は1番に適任?

ドラフト2位で入団した左打者の野口智哉は、新型コロナウイルスの影響で3年春にリーグ戦が中止される中で大学通算100安打を達成したヒットメーカーだ。プロデビュー戦となった4月19日のソフトバンク戦で初安打をマークし、「チャンスをもらえたので、自分のやるべきことをやりたいと思っていた。次からはしっかり足を地につけてチームの勝利に貢献できるよう頑張っていきたい」と声を弾ませた。

その言葉通り、ここまで14試合に出場し、5月4日のソフトバンク戦から10日の日本ハム戦まで6試合連続で安打を放ち、打線の一角に腰を据える。規定打席には達していないが、打率は.296をマーク。何より、そのスイングには、低調な今のオリックス打線にはない思い切りのよさがある。下半身主導でバットを振れるスイングが体に染みついているから、捉えた時の打球はどれも力強い。

「まずは狙い球をしっかり決め、結果を恐れず、ファーストストライクから積極的に振っていかないことには始まらない。その姿勢を新人の野口が見せてくれている。今のメンバーの中で、1番は野口が最適だ」。元オリックスの打撃コーチも太鼓判を押す。

ドラフト5位・池田陵真は平良海馬からプロ初安打

飛躍の可能性を感じさせる新人は、野口智哉だけではない。ドラフト5位の池田陵真(大阪桐蔭高)もその一人だ。

1軍デビュー戦は5月1日の西武戦。本拠地・京セラドーム大阪のファンの前で、平良海馬からプロ初安打を右前に運び、「タイミングを少し早めに取って、思い切っていこうと打席に入っていました。大事な後半の場面で、先頭打者として塁に出られてよかったです」

身長1メートル72と小柄ながら、体重85キロのがっちりした体格から放つ打球の飛距離は、春季キャンプから注目されていた。出場はここまで5試合、打率は.125にとどまっているが、球団関係者は「強豪校のキャプテンとして場数は踏んでいるので、度胸も据わっている。守備力を磨いて一軍での経験を積んでいけば外野の一角を狙える」と期待する。

若い力の台頭は、中嶋聡監督もチーム力を上げる上で欠かせない要素だと考えている。昨季、25年ぶりのリーグ優勝に貢献した宗佑磨はコロナの後遺症から状態が思うように上がらず、3年目の紅林弘太郎も「2年目のジンクス」に苦しんでいる。

高卒1年目の昨季、初打席初球本塁打という離れ業をやってのけた来田涼斗も出場機会を増やしているだけに、レギュラー陣がもたもたしているようだと、チームの勢力図が大きく変わるかもしれない。その可能性を秘めていることだけは間違いない。

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