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巨人V奪回のキーマン、吉川尚輝は不動のリードオフマンとして覚醒なるか

2022 4/29 11:00浜田哲男
読売ジャイアンツの吉川尚輝,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

4月の月間打率.360、出塁率.415の吉川尚輝

4月28日試合終了時点で、20勝9敗と11個の貯金を作り、セ・リーグの首位を走る巨人。ここまで好調なチームを牽引しているのが、4月7日の広島戦以外すべての試合でトップバッターを務める吉川尚輝だ。

3月こそ打率.208、出塁率.269と低調だったものの、4月は打率.360、出塁率.415と好調を維持。走攻守で光るプレーを随所に見せて強力打線のリードオフマンとして十分な働きを見せている。

中京学院大からドラフト1位で入団して6年目。昨年は6月に左手を骨折して離脱し、後半戦も不調となるなど、これまではケガで泣かされるシーズンも多かったが、今季こそ不動のリードオフマンとしてシーズンを通じた活躍が期待されている。

14試合連続安打、守備でも存在感

現在、打率.327(リーグ4位)、36安打(リーグ2位)、4盗塁(リーグ2位)、出塁率.383(リーグ7位)と、各部門でリーグ上位につけている吉川。3月31日のヤクルト戦から4月17日の阪神戦まで14試合連続で安打を放つなどコンスタントに安打を重ねている。

守備での貢献も大きい。4月19日の広島戦では、7回1死一、三塁の場面でフライをワンバウンドさせてキャッチし、一塁走者にタッチ。その後、一塁ベースを踏んで打者走者もアウトにする頭脳的な「4-4-4」のダブルプレーを完成させた。

一塁手の中田翔が、意図的にボールをスルーした判断も素晴らしかったが、その意図を瞬時にくみとった吉川も見事だった。打線の切り込み隊長としてだけでなく、守備でも存在感と頼もしさが際立っている。

対直球の打率が.265➝.375に上昇

123打席に立ち、三振が7個というのも少ない。同じく100打席以上に立っている中日の大島洋平は15個、広島の坂倉将吾、菊池涼介は16個の三振を記録しており、いかに三振が少なく、ボールにコンタクトできているかがわかる。三振が少なければ作戦面でも幅が広くなり、ボールを転がせば足を生かした内野安打も狙える。

球種別の打率を見ると、今季好調な要因が見えてくる。直球をいかにとらえることができるかは打撃好調のバロメーターとしても重要な要素の一つだが、昨季は対直球の打率が.265だったところ、今季は.375と大幅に上昇。対カットボールと対スライダーはともに.417、ツーシームは.429と打ちまくっている。

対右投手の打率は.338とハイアベレージをマークしている一方、昨季は苦手としていた対左投手の打率が.306(昨季は.224)と改善していて、左投手を苦にしていないことも大きい。投手の左右関係なく、迷いなくスタメンで起用できる。

近年の巨人は、シーズンを通じてトップバッターを任せられる打者がいないことが課題の一つだったが、吉川がケガや大きな波がない状態をキープしてくれるのならば、これ以上のトップバッターはいない。吉川が2年ぶりのリーグ優勝、10年ぶりの日本一を目指すチームのキーマンであることは間違いない。

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