「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ロッテ佐々木朗希が細身ながら160キロの豪速球を投げられる3つの理由

2022 3/9 06:00中村タカシ
ロッテの佐々木朗希,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

ギリギリまで右足にパワーを溜められている

ロッテ3年目の佐々木朗希が3月5日のオープン戦(対ソフトバンク)で快投を見せた。5回65球を投げ、被安打2、四球1、奪三振9、失点0と圧巻の投球。65球のうちストレートは36球で、球速も自己最速タイの163km/hを記録した。キレのあるフォークやスライダーも織り交ぜ、ソフトバンク打線を封じ込んだ。

この試合のストレートの平均球速は160km/hを超え、常時160 km/h前後の球速で投げ続けられるスタミナも光った。佐々木は身長190cmと高さはあるものの身体は細く、どこに160km/h以上を投げられる要素があるのか気になるところだ。

まず右膝の向きに注目してみてほしい。佐々木は左足を上げてから着地するまでの間、右膝はサード方向に向いており体重移動をギリギリまで我慢できている。

体重移動の際、軸足の膝が早くキャッチャー方向に向いてしまうことで軸足の蹴りが弱くなる。軸足の体重移動をできる限り我慢することで、より強くプレートを蹴られるのだ。

佐々木もプレートの蹴りが強いため、ボールにより勢いをつけられている。同様に160km/hを投げるエンゼルス・大谷翔平やソフトバンク・千賀滉大もプレートの蹴りが強い。豪速球を投げるには、軸足の体重移動をできる限り我慢し、強くプレートを蹴ることが求められる。

胸の開きを極限まで抑えられている

2つめは胸の開きを極限まで抑えられている点。左足着地時点で胸が開いてしまうと軸足で溜めたエネルギーが逃げてしまい、リリース時にボールへのパワー伝達が弱くなる。

その点、佐々木は左足の着地後も胸のマークがサード側に向いているため開きを抑えられている。またグラブ側の腕の使い方が非常に上手く、身体が開かない工夫もハイレベルだ。グラブ側の腕には胸の開きを抑える役割があり、豪速球を投げる上では欠かせないポイントになる。

グラブ側の腕で胸の開きを抑え、グラブを抱え込むように投げることで胸の張りが強くなり、腕のしなりをより効かせられるのだ。

ステップ幅が広く、より打者の手元でリリース可能

3つめはステップ幅が広い点。佐々木はステップ幅が広く、リーチが長いことからより打者に近いところでリリースできる。リリースポイントからキャッチャーまでの距離が短いほど終速も落ちづらくなるため、伸びのある直球につながる。

また、左足股関節で体重移動にブレーキをかけられているため、腕の振りも加速できている。腕の振りの速さはリリースの力強さに直結することから、豪速球を投げるには必要な要素と言えるだろう。

佐々木はロッテの徹底された育成方針のもと、順調にレベルを上げている。速球、変化球共にコントロールも安定し、キャッチャーの要求通りに投球ができている。150km/hに迫るフォークも大きな武器となるだろう。

井口資仁監督が今季は先発ローテーションで起用することを明言している20歳右腕。「令和の怪物」がいよいよ本領を発揮する時が近付いている。

【関連記事】
ソフトバンク田中正義ついに覚醒か、5球団競合右腕のドラフト同期は誰がいる?
巨人投手の通算勝利数ランキング、歴代17位・菅野智之は「上原超え」目前
2022年ロッテの年俸ランキング、FA権取得見込みの中村奨吾は5位