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「小さな大投手」中日・谷元圭介が500試合登板目前、又吉克樹の穴を埋めるか

2022 1/10 11:00窪島亮
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通算483試合で148ホールドの谷元圭介

中日の谷元圭介が500試合登板に迫っている。昨季まで3年連続30試合以上に登板し、通算483試合で28勝25敗6セーブ148ホールドをマーク。身長167センチの小柄な右腕が、プロ14年目を迎えるほどの実績を上げられると予想していた関係者は少なかったのではないだろうか。

三重県立稲生高に内野手として進学した谷元は2年生時に投手へ転向。中部大では3年秋に3勝を挙げ、リーグ2位の防御率をマークして敢闘賞に輝くと、4年時には春、秋ともベストナインに輝く。しかし、身長が評価の足枷になったのか、ドラフトにはかからず、強豪社会人からも見向きもされなかった。

谷元は新潟県の社会人チーム・バイタルネットに進む。2007年の日本選手権に出場すると富士重工を8回まで無失点に抑える快投を見せて注目を集めた。さらに翌2008年の都市対抗野球ではTDK千曲川の補強選手として出場。この活躍が認められ、同年ドラフト7位で日本ハムから指名された。

プロでは1年目から1軍のマウンドを踏み、新人では12球団最速の勝利もマーク。中継ぎエースとしての地位を確立すると、2016年の日本シリーズでは胴上げ投手にもなり、まさに順風満帆のプロ野球人生だった。

突然の金銭トレードで中日へ

右肩上がりの野球人生が急転したのは2017年だ。6月にFA権を取得し、オールスターゲームにも選出。しかし、7月31日に突如、中日への金銭トレードが発表された。

オールスターに選ばれた選手がその年にトレードされたのは初めてだった。オフにFAで移籍した場合の見返りを考えたときに、シーズン中にトレードで放出したほうが得策と判断した日本ハムの戦略と言われている。

トレードに出されてなお、新天地で18試合に登板とフル回転。翌2018年は不振で8試合のみの登板に終わったが、2019年からは再び中継ぎとして活躍し、3年連続30試合以上に登板した。ホールドも3年連続で二桁を記録しており、中日のリリーフ陣に欠かせない存在となっている。

目指すは移籍後初優勝

2013年以降、中日は苦難のシーズンが続いている。優勝はなく、Aクラスさえ2020年の一度だけ。日本ハムで栄光を味わってきた谷元は悔しい思いを続けている。

昨季66試合に登板して33ホールドを挙げた又吉克樹がFAでソフトバンクに移籍。リリーフ陣の大きなピースが欠ける今季、谷元の出番が増えることも予想される。実績のある中継ぎ右腕としてさらなる活躍を期待されるだろう。

柳裕也、小笠原慎之介といった若い先発投手が規定投球回に到達し、独り立ちした中日。上位進出には得点力不足解消とともに、抑えのライデル・マルティネスにつなぐまでが鍵となる。1月28日で37歳となる「小さな大投手」は、移籍してから味わっていない栄光の美酒を目指し、今年も存分に腕を振るつもりだ。

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