本塁打ペースは年々良化
12球団で最も早く全日程を終了した巨人。3位とはいえ、61勝62敗20分け、勝率.496と負け越し、開幕前の予想を下回る結果に終わった。
不動の4番として143試合にフル出場した岡本和真は、39本塁打でリーグ1位タイ。同数で並ぶヤクルト・村上宗隆、1本差に迫る広島・鈴木誠也に残り試合で抜かれなければ、2年連続のタイトルが決まる。
打点も113でリーグトップだが、2位の村上が112打点に迫っており、ライバルの結果待ちの状態。2年連続の2冠王なるかどうか、待つしかない岡本は落ち着かない心境だろう。
岡本の過去3年の成績が下の表だ。
4年連続30発をクリアした岡本だが、今季の39本は自己最多。本塁打を打つまでにかかる打数を示すAB/HRは13.4で、過去3年で最も良い数字となっている。およそ18打数に1発だった2019年から見ると、本塁打を放つペースは年々良化していることが分かる。
ただ、「長打率-打率」で算出され、より純粋な長打力を示すIsoPは.265で、昨季より低い。昨季は二塁打が26本だったが、今季は19本だったこともあって長打率は今季の方が低いため、IsoPも5厘低くなったが、それでもリーグ4位の高水準だ。
113打点も本塁打と同じく自己最多。4番としてチームに大きく貢献したことは間違いない。芯に当たればスタンドに放り込むスラッガーとしての能力は高まっていると言えるだろう。
三振ペースは昨季より悪化
三振は昨季より増えたが、新型コロナウイルスの影響で試合数が少なかった昨季と単純比較はできない。三振を一つ喫するまでにかかる打席数を示すPA/Kで比較すると、昨季が5.88、今季が5.48。やはり三振ペースでも昨季より悪化している。
SPAIAのヒートマップを見ると、右投手の場合、三振したコースは外角低めのボール球が圧倒的に多い。左投手の場合はややバラつきがあるが、低めのボール球かインハイを振らされていることが分かる。
ある程度は長距離砲に共通することかも知れないが、ついバットの届かないボール球にまで手を出してしまうシーンは何度もあった。結果が出なくなると、余計に気持ちが焦ることもあるだろう。どんな状況でも、いかにボール球を見極めるかは来季以降の課題だ。
村上宗隆や鈴木誠也と選球眼で大きな差
三振の多さと裏表とも言えるが、四球は少なかった。打率.309をマークした2018年の72四球から、2019年は62四球、昨季が55四球と年々減少しており、今季は57四球。「出塁率-打率」で算出され、選球眼を表すIsoDは.076と昨季を下回っている。
本塁打王を争う村上はリーグトップの105四球でIsoD.130。鈴木誠也も86四球でIsoDは.116と高い。タイトルを争うライバル打者との大きな違いはここにある。
まだクライマックスシリーズが残っているが、来季以降、当然ながら他球団からのマークはより一層厳しくなる。巨人の不動の4番として君臨し、40発、50発と成績を伸ばしていくためにはボール球を見極め、確実性を上げることが肝要だ。
※成績は10月27日現在
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