準硬式出身の22歳、課題は「いかにボールに早く慣れるか」
2020年ドラフト5位で入団した大曲錬。高校2年生の秋に投手に転向し、福岡大学に進学後は準硬式野球部に所属した。大学3年生のときに上手投げに変え、その秋にはMVP、最多勝、最多奪三振などを獲得したことで育成アマチュア担当(スカウト)の目にとまり、自身も本格的にプロを意識し始めた。
身近にプロ野球の道に進んだ人がいたことも大きい。兄の同級生や、ライオンズでは山田遥楓が中学校の先輩にあたる。2月にA班に合流し、思うような結果が出なくても山田には「いいストレート持ってるんだから思い切っていけよ!」と声をかけてもらった。「ロッカーで会うたびに声を掛けてくれるので、元気をもらっています」と同郷の先輩が身近にいるのは心強い。
ここまでイースタン・リーグ公式戦での登板数は8。
「準硬式あがりということもあって、いかにボールに早く慣れるかというのが一番の課題でした」
自分では慣れているつもりでも、いざ試合になると力が入ってしまい、それが抜け球になることが多い。打たれたヒットも完璧にとらえられるものが多いわけではない。ただ、ボール先行の投球で四球が多すぎるところは修正すべき点だ。
「二軍の選手より一軍の選手の方が当然、選球眼もいい。そういう意味で制球力は要で、一軍にあがった時に一番必要な部分かなと思っています。今のうちに修正していきたいです」
最速156km目指す豪腕、目標は「今季中に1日でも早く一軍にあがること」
制球力を高めるためにはまず、体幹トレーニングやウエイトで丈夫な足腰を作ることが重要になる。
179㎝、78kgと細身の大曲は下半身が弱く安定感に欠け、投球で左脚を上げた時に身体がふらついてしまうため、着地した際に左脚が前に滑っている感覚がある。強く安定した球を投げるためにも、しっかり右脚で全体重を支えることができる、強さが必要だ。
入団当初、周りの選手たちの身体をみて「一つひとつ(の部位の筋肉)が大きくて、このままだと負けると思いました」と増量を試みたことがあったが、それにより体のキレがなくなってしまった。以降は、瞬発系のメニューを選び筋肉量を増やしていくことに重点を置いてトレーニングをしている。
アピールポイントであるストレートは「速ければ速いほどいいと思う」。今は入団後最速153kmを上回る156kmを目指す。
変化球も磨いていきたいと、大学時代はカットボール、チェンジアップ、スライダー、スプリット、フォークの5種類だった変化球を、スライダーとスプリットの2種類に絞った。
「全球種が一度に良くなることはないと思うので、自信のある2つを選びました。しっかり投げられるように磨いていった後に、再び球種を増やしていければと思います」
そんな大曲の目標は今シーズン中に、1日でも早く一軍にあがること。制球力と変化球に磨きをかけアピールしていくと誓った。
(写真は西武ライオンズ提供)
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