防御率、奪三振率とも優秀なドラ1ルーキー
オープン戦からその実力が話題となっているパ・リーグ各球団のドラ1ルーキーたち。中でも楽天が4球団競合の末に獲得した早川隆久は、登板するたびに注目を集めている。
活躍するドラ1ルーキーは早川だけではない。ロッテ・鈴木昭汰と日本ハム・伊藤大海も期待に違わぬ実力を発揮している。
3選手とも防御率2点台に高い奪三振率(K/9)を誇り、ルーキーとしては申し分ない成績である。ただ、総じて勝ち星に恵まれておらず、勝利を記録しているのは早川の1勝のみとなっている。
その中で鈴木の被打率.111は圧巻だ。早川の被打率.261や伊藤の被打率.214も決して悪い数字ではないが、鈴木は安打されないという点では一枚上をいく。1イニングあたり何人の出塁を許したかを示すWHIPも0.94と球界の大エースと呼ばれるクラスの数字を記録している。
伊藤も負けていない。1試合で奪う三振数を示すK/9では、トップの13.26を記録し、元ヤクルト・伊藤智仁(現投手コーチ)を彷彿とさせるスライダーで、並みいる打者から三振の山を築いている。さらには、先発投手が6イニング以上を投げ、かつ3自責点以内に抑えたことを示すQSを3試合連続で記録するなど安定感も光る。
だが、やはり一歩リードしているのは楽天の早川か。特筆すべきはその精度の高さだ。9イニングあたりの与四球数を示すBB/9は1.53と、球界トップクラスの数字を記録している。この高い制球力が、開幕から続く好投の要因のひとつだろう。
まだまだシーズンは始まったばかりだが、ドラ1ルーキーの熱い新人王争いは必至だ。
宮城大弥、杉山一樹ら実力をつけた若手たちの躍進
新人王争いはドラ1ルーキーだけが対象ではない。オリックスの2年目・宮城大弥とソフトバンクの3年目・杉山一樹も成長著しい。
パドレス・ダルビッシュ有に絶賛された宮城は、現在防御率1.23でトップを走っている。何よりも圧巻なのがWHIP0.77だ。データ上、ほとんどランナーが塁に出ないことになる。QSも登板した3試合すべてで記録しており、今最も勢いがあるピッチャーと言っても過言ではない。
157km/h右腕の杉山は、その球威抜群のストレートを武器に中継ぎで7試合に登板。防御率こそ4.15という数字だが、失点したのは4月10日の楽天戦の2点のみだ。投げるボールのインパクトは申し分ない。
懸念点があるとすれば、やや制球に苦しんでいるところだ。BB/9は24.55を記録しており、唯一失点した日の登板でも2つの四球を与えている。
総合的には宮城が頭一つ抜けているが、2年目以上の有資格者による戦いもさらに熱くなっていくだろう。
覚醒が期待される“令和の怪物”佐々木朗希
今年の新人王争いで、見逃せない選手がもう一人いる。高校時代163km/hをマークし、「令和の怪物」と呼ばれた佐々木朗希だ。
今季のオープン戦では、最速153km/hのストレートを軸に1回を3者凡退。上々の仕上がりを見せたが、現在はファームで調整中。4月9日の西武との2軍戦で最速153km/hをマークし、自己最長の3回を無失点で抑えている。
状態が悪くないだけに、1日でも早い1軍登板を望むファンも多いだろう。
今年のパ・リーグはペナントレースだけでなく、新人王争いも例年以上に盛り上がりそうだ。
※成績は2021年4月17日現在
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