先発ローテーションの柱
2019年に球団の高卒新人投手として1966年の堀内恒夫氏以来となる日本シリーズ登板を果たした戸郷翔征。大きな期待を受けて迎えた2年目の昨季は、チーム2位の9勝を挙げて新人特別賞を受賞。
惜しくも2ケタ勝利には届かなかったが、年間120試合制の中で立派な成績を残した。20歳にして先発ローテーションの柱となった右腕を今回は分析していきたい。
2019年に球団の高卒新人投手として1966年の堀内恒夫氏以来となる日本シリーズ登板を果たした戸郷翔征。大きな期待を受けて迎えた2年目の昨季は、チーム2位の9勝を挙げて新人特別賞を受賞。
惜しくも2ケタ勝利には届かなかったが、年間120試合制の中で立派な成績を残した。20歳にして先発ローテーションの柱となった右腕を今回は分析していきたい。
開幕からエース・菅野が負けなしで連勝を続ける中、シーズン前半は戸郷もそれに劣らない抜群の投球を見せていた。8月終了時点では菅野に次ぐリーグ2位の7勝、防御率も1点台をマーク。
この頃は新人王のタイトルが有力視されていたが、9月以降は苦戦を強いられることになる。強みだった奪三振率が大きく落ち込むなど、白星をなかなか挙げられない登板が続いた。
シーズン後半の失速の一因として挙げられるのが、空振りを奪う確率が急落している点だ。中でもボールゾーンではスイング奪空振り率が15%も減少。ボールゾーンの投球にバットが当たることが増え、これが奪三振率の低下につながったといえる。
戸郷にとって開幕からローテーションを守るのは初めてのことであり、疲労の影響や対戦チームの分析が進んだことが推測される。
シーズン後半は思うような投球ができなかった戸郷だが、それでもスイング奪空振り率はセ・リーグの先発投手でトップを記録。150キロ前後のストレートと切れ味鋭いスライダー、そしてフォークのコンビネーションは、相手打者に簡単にコンタクトを許さなかった。駆け引きや細かいコントロールといった部分は発展途上であるものの、ボールの質そのものは非凡なものを見せている。
契約更改の場では「15勝」を今季の目標に掲げた戸郷。シーズン中からアドバイスを受けるなど、最高のお手本である菅野がチームに残留したことは、さらなる成長への好材料となるだろう。昨季一軍で投げ抜いた経験を生かし、今季は年間を通して快投を披露できるか。エースの階段を駆け上がる若武者の成長に注目したい。
※文章、表中の数字はすべて2020年シーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:西田 祥玄
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