背番号18の右腕
昨季からロッテの背番号18を受け継いだ二木康太。開幕直後こそ打ち込まれたものの、二軍での調整を経て再昇格した8月以降は好調を維持。終わってみれば短いシーズンの中でキャリアハイの9勝をマークし、チームのクライマックスシリーズ進出に大きく貢献した。今回はそんな右腕のピッチングに迫りたい。
昨季からロッテの背番号18を受け継いだ二木康太。開幕直後こそ打ち込まれたものの、二軍での調整を経て再昇格した8月以降は好調を維持。終わってみれば短いシーズンの中でキャリアハイの9勝をマークし、チームのクライマックスシリーズ進出に大きく貢献した。今回はそんな右腕のピッチングに迫りたい。
二木の最大の特徴は与四球の少なさだ。元々コントロールに優れた投手だったが、昨季はさらに安定感が向上。シーズンで与えた四球はわずか12個にとどめ、リーグの先発投手の中では頭一つ抜けた与四球率をマークした。
与四球が少ない一つの要因として、二木のストライクを奪う能力が挙げられる。昨季は68%という優れたストライク率を残しており、カウント別に見てもすべての状況で高い数字が並ぶ。
その中でも注目したいのは、リーグ平均を10ポイント上回ったボール先行のカウントだ。投手にとってはどうしてもストライクが欲しい場面であり、二木はそこできっちりとストライクを奪えていた。
ボール先行のカウントで大きな役割を担ったのはストレートだ。二木は昨季のストレート平均球速が140.8キロと決して剛速球を投げるわけではないが、不利な状況からでも半分以上の割合で直球を選択。
同じ状況で100球以上ストレートを投げたパ・リーグの投手でただひとり、80%を超えるストライク率をマークした。苦しい場面で確実にカウントを稼ぐことができたこのボールの存在が、昨季の優れた与四球率につながっている。
そして四球を出さない能力は、ピッチングの安定感にもつながってくる。1イニングあたり何人の走者を出したか表すWHIPは、50イニング以上を投げたリーグの先発投手でトップ。余計な出塁を許さず、淡々と打者を打ち取る。昨季見せた投球は、エースナンバーを背負うにふさわしい姿だったといえるだろう。
19年オフに自ら球団に背番号の変更を求め、18番を託された二木。昨季はチーム2位の9勝を挙げるも、契約更改の席では満足した様子を見せなかった。負けない投手という理想のエース像を追い求める右腕は、さらなる飛躍を目指して腕を振り続ける。
※文章、表中の数字はすべて2020年シーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:秋山 文