10月は12勝4敗、6回終了時リードなら34連勝
中日がシーズン終盤に来て調子を上げてきた。10月11日の巨人戦(ナゴヤドーム)から7連勝を飾るなど、10月は12勝4敗。8月中旬まで最下位だったが、気が付けば借金を完済、2位浮上している。首位・巨人とは大差がついているため逆転優勝の可能性は低いとはいえ、来季につながる明るい材料だろう。
その屋台骨を支えているのが投手陣。特に福敬登、祖父江大輔、ライデル・マルティネスらで形成するリリーフ陣は強力で、6回終了時にリードしていれば34連勝という驚異的な記録を継続中だ。
加えて大黒柱の大野雄大が絶好調。7月31日のヤクルト戦から9月1日の広島戦まで球団タイ記録の5試合連続完投勝利を挙げ、10月14日の阪神戦では今季5度目の完封勝利をマークした。
防御率1.92はセ・リーグトップ。奪三振数でも巨人・菅野智之を上回るリーグトップの128個を奪っており、今やセ界を代表する左腕と呼んでいいだろう。
打撃成績は軒並み最下位も、1試合平均3点台から4点台に
一方で、課題は打線だ。チーム総得点380は12球団最下位で、セ・リーグ首位の巨人と100点近い差がある。チーム本塁打59本も12球団最下位で巨人の半分以下。広いナゴヤドームが本拠地とはいえ、かつて「強竜打線」と呼ばれた頃の面影はない。
また、盗塁数もチーム合計28個で12球団中11位。走攻守の「走」と「攻」がこの数字で2位に躍進しているのは、奇跡的と思えるほどだ。
ただ、当然ながら打撃陣も指をくわえて見ている訳ではない。投手陣の陰に隠れて目立たないが、実はここに来て得点力がアップしているのだ。
8月まで1試合平均3点台だったが、9月は4.04点、10月は4.38点を奪っている。1点の上積みを強力投手陣が守り抜いている格好だ。
ほとんどの試合で5番を打っている高橋周平は7月は打率.275だったが、8月は.302、9月は.309、10月はここまで.322と上昇している。切り込み隊長の大島洋平も10月は打率.393と好調。平田良介が9月26日に抹消されたが、現状はその影響を感じさせていない。
来季は大野雄大の引き留め次第?
今季は新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れたため、セ・リーグはクライマックスシリーズが実施されない。「勝負事にタラレバは禁物」と言うが、もし、CSがあればと考えるファンや関係者は少なくないだろう。
すでに首位・巨人との対戦カードはすべて消化しており、10勝12敗2分け。全チームに勝ち越している巨人に対して、最も互角に近い成績を収めている。
盤石の投手陣と上昇気流に乗る打線がかみ合えば、ひょっとして…という淡い期待も、クライマックスシリーズが開催されればの話。とはいえ、来季に向けて右肩上がりでフィニッシュすることは重要だ。
あとはFA権を取得した大野雄大を引き留められるかどうか。今オフのストーブリーグの行方が来季を左右するかも知れない。
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