セ・パともに35勝、打倒パへ燃える原監督
プロ野球の日本シリーズが21日に開幕する。今年は社会人の都市対抗野球が同じ時期に巨人の本拠地・東京ドームで開催されるため、巨人は京セラドーム大阪をホームとして第1、2、6、7戦を戦う。第3、4、5戦はソフトバンクのホーム・福岡PayPayドームで行われる。
コロナ渦で開幕が遅れた2020年シーズンも終わり、残るは日本一決戦のみ。両リーグとも勝つべくして勝った王者同士が、2年連続で雌雄を決することになった。ソフトバンクからの提案で全試合DH制となり、見応えのあるハイレベルなシリーズとなりそうだ。
上表の通り、日本シリーズではパ・リーグ優勝チームが7連勝中。ここ20年を振り返ってもパ・リーグの14勝6敗と、セ・リーグは苦戦を強いられている。
また、2005年から始まった交流戦では、昨年までの15年間でパ・リーグが14回勝ち越しており、セ・リーグが勝ち越したのは1回だけ。セパの実力差は厳然たる事実として数字が示している。
巨人・原辰徳監督は昨年のシリーズで4タテを喫した後、セ・リーグもDH制を導入するべきと主張。投手が打席に立たないDH制のおかげで結果的に投打ともレベルアップするため、打倒パ・リーグを果たすにはセもDH制が必要というのがその理由だ。
特にソフトバンクは2011年以降の9年間で日本シリーズに6回進出し、いずれも優勝。しかも、その6回でセ・リーグの全球団を撃破しており、今やセの前に立ちはだかる大きな壁なのだ。
しかも、1950年に始まった日本シリーズは昨年までセ・リーグ35勝、パ・リーグも35勝と全くの互角。今年勝ったリーグが勝ち越す状況となっている。「球界の盟主」巨人の指揮官として、原監督はどうしても負ける訳にいかないのだ。
原監督はシリーズ通算18勝、工藤監督は16勝
原監督にとって、ソフトバンクに負けられない理由がもうひとつある。日本シリーズの監督通算勝利数で工藤公康監督に迫られているのだ。
今回で監督として7度目の日本シリーズ出場となる原監督は、歴代6位タイの通算18勝16敗。阪急時代にシリーズ3連覇を果たした上田利治氏に並んでいる。
一方、工藤監督は5度目のシリーズ出場で、これまで16勝4敗1分け。ヤクルトを3度の日本一に導いた野村克也氏に並んでおり、勝率は驚異の8割を誇る。
つまり、今回ソフトバンクが4勝2敗で優勝すれば両監督は通算20勝で並び、ソフトバンクの4連勝か4勝1敗なら工藤監督が原監督を上回るのだ。
巨人優勝なら原監督は歴代4位浮上
原監督は今季、レギュラーシーズンの監督通算勝利数で長嶋茂雄氏の1034勝、川上哲治氏の1066勝を超え球団歴代トップに立ち、名実ともに「名将」の仲間入りを果たした。
日本シリーズの勝利数では、44勝の川上氏を筆頭に29勝の森祇晶氏、25勝の水原茂氏と歴史的名監督が並ぶが、仮に今年4勝を上積みして優勝すれば22勝となり、あの南海の「親分」鶴岡一人氏を上回る歴代4位に浮上する。
巨人が日本シリーズでソフトバンクの前身、ダイエーを破ったのは2000年。巨人・長嶋茂雄監督とダイエー・王貞治監督の対決となり「ONシリーズ」として盛り上がった年だ。
原監督は当時ヘッドコーチ、まだ現役だった工藤監督も当時巨人に所属していた。投手・工藤は第1戦に先発して7回3失点と好投し、結局4勝2敗で巨人が日本一。今年、巨人が「天敵」を破って日本一に輝けば20年ぶりとなる。
必勝を期す原監督にとっては、まさに「相手に不足なし」。見どころいっぱいの日本シリーズ第1戦は、21日午後6時10分にプレーボールがコールされる。
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