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原巨人が連覇!独走ロード支えた中継ぎ陣の安定と固い守備

2020 10/30 22:00勝田聡
巨人の原辰徳監督ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

原辰徳監督は計9度目の頂点

マジック1としていた巨人が30日のヤクルト戦で引き分け、2年連続38度目のセ・リーグ優勝を決めた。

原辰徳監督は計9度目の頂点。開幕からほぼ独走での連覇となった。セ・リーグはクライマックスシリーズが開催されないため、巨人は11月21日から始まる日本シリーズで、パ・リーグの出場チームと戦う。

5連敗中の巨人はこの日も最下位ヤクルト相手に苦しみ、3対3の同点で延長戦に突入。10回表のヤクルトの攻撃をビエイラが無得点に抑えて負けがなくなり、2位阪神が引き分けたため、試合終了を待たずに優勝が決まった。

チーム防御率はリーグトップ、失策数は最少

2020年の巨人のチーム成績(10月28日現在)を見ると、本塁打数はリーグトップタイの125本をマークしているものの、チーム打率はリーグ3位。規定打席到達者で打率3割以上は1人もおらず、打率トップ10にも名を連ねる選手はいない。

岡本和真や坂本勇人、丸佳浩らビッグネームのインパクトが強いが、決して打ち勝ってきた訳ではない。

一方でチーム防御率はトップ、失策数もリーグ最少となっている。巨人は強力打線のイメージが強いかも知れないが、原監督が優勝した過去8回のチーム成績は、チーム打率2位以下が4回あるのに対し、チーム防御率は昨年を除いて全て2位以上なのだ。

原監督リーグ優勝時のチーム成績

鍵谷、高梨、大江、中川、デラロサらが「奮投」

チーム防御率1位に大きく寄与したのが、開幕13連勝を記録したエース菅野智之や、今シーズン急成長を遂げた戸郷翔征であることは間違いない。ただ、見逃してはならないのが中継ぎ陣の「奮投」だ。

30登板以上している鍵谷陽平(44試合/3.03)、高梨雄平(40試合/1.34)、大江竜聖(40試合/2.86)、中川皓太(37試合/1.00)、デラロサ(32試合/2.54)がいずれも安定した投球を見せた。

勝ちパターンが複数できるほどの層の厚さ。この安定した中継ぎ陣がいたからこそ、リーグ優勝を成し遂げることができたといっても過言ではない。

パ・リーグを制したソフトバンクも防御率はリーグトップ。今シーズンはセ・パともに投手陣が安定していたチームが優勝を果たしたことになる。

守備の指標「DER」もリーグトップ

さらに守備面でも巨人は優れていた。失策数はリーグ最少の37個。失策が絡むと防御率に影響しないこともあるが、ワーストの阪神が80個と、倍以上の大差がついている。内野が人工芝の東京ドームと土の甲子園を単純に比較できないとはいえ、この差は大きい。

チームの守備を表す指標の1つにDER(Defense Efficiency Ratio)がある。DERの計算式は「DER=(打席-安打-四球-死球-三振-失策)/(打席-本塁打-四球-死球-三振)」。

つまり、本塁打以外のグラウンドに飛んできたボールをアウトにした割合である。この数値が高ければ高いほど、アウトにした打球が多いことを示す。

巨人のDERは.720となっており、セ・リーグで唯一の.700超え。リーグワーストのヤクルトは.662となっており、.058もの差がある。グラウンドに飛んできた打球をアウトにする可能性がおよそ6%違うと、その後に安打や本塁打を喫した場合の痛みも違ってくる。積み重なった無駄な失点が、順位の差となって現れているのだ。

派手な部分ばかりが目立つが、実は地味で小さな仕事の積み重ねが独走のリーグ連覇につながった。次は日本シリーズ。昨年は屈辱の4タテを喫しただけに、原監督はまだ先を見据えているはずだ。

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