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21世紀初の完全試合は誰が達成するか?過去の達成投手一覧

2020 8/20 11:00SPAIA編集部
巨人の菅野智之(左)とヤクルトの小川泰弘ⒸSPAIA
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1994年の巨人・槙原寛己が最後

ヤクルト・小川泰弘が8月15日のDeNA戦でノーヒットノーランを達成した。135球を投げ、3四球と2失策による走者を許しただけで10三振を奪う快投。2019年9月の中日・大野雄大以来、史上82人目、通算93度目(完全試合含む)の快挙で、ヤクルトでは2006年のガトームソン以来14年ぶりだった。

ノーヒットノーランに比べて、長らく達成されていないのが完全試合だ。日本のプロ野球ではこれまで15度記録されているが、全て20世紀。1994年5月18日の広島戦で達成した巨人・槙原寛己以来、誰も成し遂げていないのだ。

NPB完全試合達成投手

「あと1球」で快挙逃した杉内俊哉

槙原以降で最も近付いたのが西武・西口文也と巨人・杉内俊哉だろう。西口は2005年8月27日の楽天戦で9回を投げ切ってパーフェクト。しかし、味方打線の援護に恵まれず、0-0のまま延長に突入すると、10回表に沖原佳典に初安打を許した。結局、その裏にサヨナラ勝ちしたため完封勝利となったが、手放しでは喜べない1勝だった。

杉内俊哉は2012年5月30日の楽天戦、9回二死までパーフェクト投球を続け、打席に田中将大の代打・中島俊哉を迎えた。

杉内は1ボール2ストライクと追い込んだが、3球ボールを続けて痛恨の四球。次打者・聖澤諒は見逃し三振でノーヒットノーランは達成したものの、喜び半減の快挙となった。

先発完投が「美徳」とされた時代とは違い、現代野球は投手の分業制が進んでいる。6回を自責点3以内に抑えるQS(クオリティ・スタート)が先発投手の責任とされ、完投を求められることすらほとんどない。完全試合がいかに達成困難な時代になっているか分かろうというものだ。

最有力候補は菅野智之?

とはいうものの、ノーヒットノーランが達成されているのだから、完全試合の可能性がなくなった訳ではない。現役投手で達成するとすれば誰が候補だろうか。

ノーヒットノーランを達成し、今も日本球界でプレーしている現役投手は小川、大野の他にもソフトバンク・千賀滉大、楽天・岸孝之、中日・山井大介、阪神・西勇輝がいる。クライマックスシリーズでは巨人・菅野智之も2018年に達成した。実績から言えば、誰が完全試合を達成しても驚けないだろう。

菅野は8月18日の阪神戦で今季3度目の完封勝利を飾り、開幕8連勝。プロ通算95勝のうち、20勝は完封勝利だ。防御率は投球回数が少ない方が有利だが、菅野は12球団最多の65.2回を投げた上で防御率1.51をマーク。高いパフォーマンスを最後まで維持できるスタミナやメンタル面も含めて考えると、完全試合に最も近い位置にいると言えるかも知れない。

ノーヒットノーランは達成していないが、現役5位タイの13完封を誇る楽天・涌井秀章や、チームメートで同8位の11完封を誇る則本昂大らも候補だろう。運も必要とはいえ、「まぐれ」で達成できる記録ではないだけに、トップクラスの実力が必要なのは言うまでもない。

槙原以来26年間も達成されていないことを考えれば、今はアマチュアの投手、あるいはこの世に誕生すらしていない未来のエースがプロ入りしてからになるかも知れない。21世紀初めての完全試合が見られるのはいつの日だろうか。

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