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ロッテ・藤原恭大は安田尚憲に続けるか リードオフマンとしての課題と向き合う日々

2020 8/8 11:00浜田哲男
ロッテの藤原恭大ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

リードオフマンとして武者修行中

今季は2軍でスタートしたロッテの藤原恭大。ここまで24試合に出場し、打率.213、2本塁打、8打点、4盗塁の数字を残している。毎試合1番中堅で出場を続け、打席数はチーム最多の110打席。一方、イースタン・リーグ最多の34個の三振を喫するなど目下武者修行中だ。

6月20日のDeNA戦から7月3日の巨人戦までの7試合のうち、4試合でマルチ安打をマークするなど序盤こそ幸先の良い滑り出しを見せたが、7月16日のDeNA戦から7試合連続無安打と不振に陥った。しかし、7月26日の巨人戦で久々の安打を放つと、以降は6試合連続安打を継続中(8月5日試合終了時点)だ。

特筆すべきは、猛打賞をマークした7月31日の日本ハム戦。右腕・望月大希との対戦となった第1打席では、カウント1-0からの2球目の直球を振り抜き、一二塁間を破る球足の速い安打で出塁。打者・高部瑛斗の時のカウント2-2で悠々と二盗を決めた。

二死三塁と好機で迎えた第4打席では左腕・宮台康平と対戦。フルカウントからの6球目、外角の直球をたたきつけて二塁への内野安打を放つと、次打者・平沢大河の初球にスタートを切るなど先の塁へ向かう意識の高さを見せた。続く第5打席では二死二塁の好機で左腕・高山優希と対戦。フルカウントから高めの変化球を振り抜き一二塁間を破る強烈な安打を放った。

1番打者として特に求められる出塁率は.312。まだまだ改善の余地はあるが、ここまで四球はイースタン・リーグ4位(チームトップ)の12個をマーク(四球率10.9%)。昨季の四球数が22個(四球率6.7%)だったことを考えると球を見極める力、出塁意識の向上は顕著だ。

井口資仁監督と今岡真訪2軍監督は、安田尚憲を4番打者として育てるビジョンを共有しているが、藤原に関しては1番打者として育てるビジョンを持つ。豪快なスイングから放たれるアーチも魅力の藤原だが、リードオフマンとしての役割を果たしていくためには出塁率を高めていく努力が必要だ。

持ち前の脚力と対応力のある打撃

入団時、ストロングポイントを聞かれた藤原は、「足ですね」ときっぱりと発言していたが、ここ数試合を見ていても藤原の「足」は存分に生かされている印象だ。

8月4日に行われたDeNA戦では、第3打席で右腕・阪口皓亮から三遊間を破る安打を放ち出塁すると、高部が放った一二塁間を破る安打で悠々と三塁に到達して好機を拡大した。無死一塁で迎えた第4打席では左腕・砂田毅樹と対戦。自分も生きようというセーフティーバントを三塁前に転がし間一髪でアウトにはなったが、自慢の脚力を十分に見せつけた。

第5打席では、他の打者が打ちあぐねていた右サイドスローの進藤拓也の球筋を冷静に見極め、四球で出塁。打者・三家和真の時の2球目に二盗に成功し、捕手の送球がそれる間に三塁を陥れた。その後、高部の振り逃げで捕手が一塁に悪送球する間に決勝のホームを踏んだが、まさに藤原の足でつかみ取った勝利だった。現在、盗塁数はイースタン・リーグ4位の4個。出塁率の向上を目指すとともに、盗塁王も狙ってもらいたい。

また、8月5日のDeNA戦で印象的な打席があった。右腕マイケル・ピープルズの外角低めの変化球を軽く合わせて、中堅前に運んだ安打だ。バットにやさしく乗せるような技ありの一打は、追い込まれたカウントでの打撃だったがゆえに価値があった。このような対応力のある打撃をものにできれば、打率も必然的に向上していくだろう。

2軍で成績を残して安田に続けるか

昨季、イースタン・リーグの打撃部門で本塁打王と打点王の2冠に輝いた安田が、現在1軍で躍動中だ。8月4日のオリックス戦では、山本由伸の初球のフォークをとらえて先制の適時打を放つと、翌5日のオリックス戦でも4回に右中間を破る先制の2点適時二塁打。4番に座って以来、堂々たる活躍を見せてチームの勝利に貢献している。

プロ入り1年目に1軍のレベルを体感し、2年目に2軍で武者修行して確かな実績を残し、3年目にいよいよブレイクかという活躍を見せ始めた安田。2018年のドラフト1位で入団し同じ道のりを歩む藤原も、今季は2軍で納得できる成績を残し、安田の後に続きたいところだ。

チームには絶対的なトップバッターの荻野貴司がいるが、今年で35歳。まだまだチームには欠かせない一方、いつまでも荻野の後釜がいない状態では未来がない。8月4日に1軍に昇格し、同日にプロ初スタメン出場を果たした根尾昂の存在も刺激となっているだろう。

まだまだ課題は多いが、そのポテンシャルは計り知れない。リードオフマンとしての課題を一つ一つクリアした先に、輝かしい未来が待っているはずだ。

※数字は2020年8月5日試合終了時点

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