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巨人・岡本和真が「希代のアーチスト」であると証明する数値とは?

2020 7/25 06:00SPAIA編集部
巨人・岡本和真ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

HR/FBは25.0%でリーグトップ

巨人・岡本和真がホームランダービートップを走っている。ペナントレースの約4分の1を消化した時点で10本塁打なら、巨人では小笠原道大以来となる3年連続30発だけでなく、自身初の40発、さらに初のタイトルも大いに期待できる。

7月24日終了時点で長打率.657は広島・鈴木誠也の.683に次いで2位だが、塁打数から算出される長打率はシングルヒットも加算されるため、厳密に言うと「遠くへ飛ばす能力」とは異なる。より正確に長打の多い打者を示す指標「IsoP」では、岡本が.352で2位・鈴木の.327を大きく引き離してセ・リーグトップに立っている。

また、本塁打を放つまでにかかる打席数を示す「AB/HR」も10.5で、2位の中日・ビシエド(12.2)を抑えてトップ。1試合4打席と考えれば、3試合に1発は確実に打っている計算だ。

ただ、単に遠くへ飛ばし、ホームランを多く打つだけでは「アーチスト」とは言えない。岡本はフライに占める本塁打の割合を示す「HR/FB」も25.0%で、2位のDeNA・ソトの21.9%を引き離してトップに立つ。

「HR/FB」は、3位に19.2%のヤクルト・青木宣親、4位タイに17.9%の広島・堂林翔太とアベレージヒッターがランクされていることからも分かる通り、ホームランバッターだけが高い訳ではない。ポップフライなどが少なく、フェンス手前で失速することも少なく、ボールの少し下を叩いてスタンドまで放り込める力が反映される。

力任せのパワーヒッターではなく、中距離ヒッターにもとどまらない、正確にミートした打球をホームランにできる力が備わっていることを証明しているのだ。だから岡本のホームランは美しい放物線を描くのだろう。

課題は低めのボール球の見極め

甘い球を確実に仕留めるミート力を裏付けるデータとして、ストライクゾーンの空振りが少ないことが挙げられる。SPAIA集計のヒートマップを見れば一目瞭然だ。今季喫した26三振のうち、最後の球がストライクゾーンだったのは5回のみ。ほとんどは低めのボール球に手を出して喫したものだ。

裏を返せば、そこが弱点でもある。低めのボール球を見極めることができれば、打率はさらに上がり、確実性も増すだろう。

加えて打球の約3分の2はレフト方向に偏っている。ストライクゾーンならどのコースでもコンスタントに打っているが、数少ない悪い数字となっているコースが外角低めと真ん中高め。特に打率.160と苦手にしている外角低めは、相手チームから盛んに攻められている傾向が見て取れる。外角球をライト方向にも打てると証明することが、今後の岡本にとっては課題になる。

いずれにせよ、巨人の第89代4番打者として、球団史を振り返っても類い稀な能力を持っていることは間違いない。「希代のアーチスト」岡本は、その美しい放物線で今後もファンを酔わせてくれるだろう。

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